田代記者がマツダ裁判を解説してくれている。

これもまた分かりにくいのだが、最後まで読んでようやく分かってきた。

問題は「黙示の労働契約」という法理にあるようだ。

3月19日に書いた

派遣労働が違法と判断されれば、正社員とみなされる

というのがそれで、

派遣契約が無効であるとすれば、実態としては正社員の代替としての暗黙の労働契約が成立していたものと考えるのが妥当である。

というやつである。

田代記者はこう書いている。

書面などでの明確な労働契約がなくても、日々の指揮命令や賃金の支払い方などで使用従属関係にある場合、労働契約の暗黙の了解を認めようということです。

そう言われても、まだあっさりとは飲み込めない。なんとなく消化不良である。


わたしは、これは二面に分けて考えたほうがいいと思う。

雇用関係においては、使用者ないし雇い主と労働者は、形式的には対等な関係で契約を結ぶ。

しかし一旦雇用関係が結ばれると、今度は生産の指揮者と生産労働の担当者という関係になる。

労働者と使用者ないし雇い主の関係は、このような二重の関係を形成している。そしてどちらが本質的かといえば、現場での生産・労働関係が本質的であるということだ。

だから労働契約は労働内容に即して、あまりかけ離れたものになってはいけないし、もしあまりかけ離れているなら、契約は破棄され、実態に即して裁定しなければならないということだろう。


実はこの「黙示の労働契約」という考えは今回の判決が初めてではなく、08年4月にすでに一度提示されている。

松下プラズマディスプレイ(当時)の「偽装請負」裁判で、大阪高裁が下した判決の中に、示されている(らしい)

結局これは最高裁まで行って覆された。

09年12月の最高裁判決では、偽装請負は認定されたが、派遣先企業の雇用責任は免罪された。

その後は、この最高裁判決に追随する判決が相次いでいたという。

要するに、企業はその違法性は指摘されるが、実害はないということになるから、ヤリ放題である。「赤信号みんなで渡れば怖くない」の世界だ。

その法理が、地裁レベルとはいえ復活したというところに、山口地裁の判決の意義があるようだ。

すみません。もし間違っていたら、訂正してください。