アベノミクスがもてはやされ、普通の庶民まで何かしら期待感が広がっている。
それは、大企業が儲かれば、景気が良くなる。景気が良くなればおすそわけが回ってくる、という期待感だ。
これは、昔ながらのトリクルダウンの理論の焼き直しだ。
しかしそれが幻想にすぎないことは、この15年間で痛いほど経験してきたではないか。
トリクルダウンの蛇口は97年以来閉められたままだ。リーマンショック前のいわゆる“好況期”に於いてさえそうだった。
それでは大企業は蛇口を緩めるだろうか。大企業はもっと締めると宣言しているではないか。
正社員にボーナスを多少多く払ったといって、それで何になるだろうか。
労働規制をさらに緩和して解雇も自由にする、派遣ももっと拡大する、ということになれば、労働者の生活はさらに悪化する。
これが蛇口を締めるということだ。

インフレというのはそもそも、貧乏人いじめのもっとも有効は方法だ。物価が2%上昇するということは給料が2%減少するということだ。
そうなればどうなる。貧乏人はますますモノを買わなくなるし、内需は冷え込む。これがスタグフレーションというやつで、不況と物価高のダブルパンチだ。

民衆はその時になってやっと、円高とデフレは関係ないということに気づくがもう遅い。アベノミクスは参議院選挙まで持てばいいという打ち上げ花火だ。参議院で多数を確保すれば、反動立法を次々に成立させ、国内の不満を抑えこみ、ファシズムにまっしぐらだ。