保育所関連状況取りまとめ(平成24年4月1日)

厚労省のサイトのこのページが、今のところ最新の資料と思われる。これは発表用のステートメントとと添付のPDF資料からなっている。発表用のステートメントと資料との間に、かなりの乖離が見られるのが特徴である。

まずは全国状況

保育所定員は224万人
これに対し利用児童数は2,176,802人


全国的にはほぼ満度に利用されていることになる。少なくとも保育所余りということはない。

ついで傾向だが

利用児童数は53,851人増加。平成6年の調査開始以降、最高の増加数となった。
これに対し定員数は3.6万人増にとどまっている。


需給バランスが明らかに悪化しているのは確かである。

ついで待機児童数

待機児童数は24,825人で2年連続の減少となった。


ということなので、需給バランスの悪化にもかかわらず減少した理由がよく分からない。多少の悪条件を忍んで入所するケースが増えているということか。

いずれにしても、過疎化地域をふくむ全国一律の数字では実態はよく分からない。

地域別に見るとどうなるか

待機児童のいる市区町村は、前年から20増加して357となった。

大阪市(268人増)、福岡市(166人増)、藤沢市(125人増)など7市町では100人以上増加した。


ということで結構多い。ただ待機児童数そのものを出さないのは、なにか意図を感じさせる。


このブリーフィングだけを読むと、定員数は利用者数を上回っている。定員数は着実に増加している。待機者数は減少している、という事実が印象づけられる。つまり多少の問題はあっても、保育行政はおおまかに言ってうまく行っているということだ。

ということで、プレスリリースのブリーフィングはなにか変だ。肝腎の数が出てこない。というより意図的に隠されているという印象だ。そこで添付されたPDF資料まで踏み込むこととした。


まず、「特定市区町村」という概念がある。これは50人以上の待機児童がいて、児童福祉法で保育事業の供給体制の確保に関する計画を策定するよう義務付けられる市区町村 を指す。

これこそ、我々の知りたかったものだ。

「特定市区町村」は前年から13市区町村増加し、107市区町村となった。

これが問題の核心でしょう。政府自身も「これは問題だ」と言わざるをえないような市町村が100もあって、しかもますます増えている。
しかも1年間で、107÷(107-13)=14%の増加だから、緊急事態と言わざるを得ない。

ここを記者会見で発表しないのは不届きと言われてもしようがない。

次に経年推移を見る。

利用児童数は
H17 1,993,796
H21 2,080,072
と4年間で1万人の増加なのに対し
H24 2,176,802
とその後の3年間で10万人も急増している。この事実もブリーフィングでは隠されている。

増えただけではなく、偏在が進んでいる

1080市区町村で約6万3千人増加した一方、583市町村で約9千人の減少。

つまり保育所に対する需要は、この4年間に、大都市圏において、急増 していることになる。行政対応は明らかに出遅れている。

最後に保育需要が増えた原因であるが

データから推定されるのは、貧困化である。

就学前児童の総数は6,364,000人である。前年が 6,414,094人であるから、5万人ほど減っている計算になる。

にもかかわらず保育所利用児童の数は、5万人増えて 2,176,802人に達している。
したがって、児童の保育所利用率は急速に上昇している。実に総児童数の34.2%に達しているのである。
とくに増加が目立つのが3歳未満児で、前年に比し1.3%の増加を示している。なにか大きな地殻変動が起きているといわざるをえない。

これを世帯所得の推移や、女性の就業形態の推移と合わせると、“パートにでも出ないと食っていけないから”、という押し出され型就業が容易に想像される。

我々の時代の共稼ぎとは明らかに性格をことにしており、ポジティブな意義付けはできない。

「良い保育を望むなら、民間で」などという余裕はない。保育対策は貧困対策でもあり、就労支援でもある。軽費で利便性の良い公的保育施設がもとめられている。(此処から先は、言ってはいけないことかもしれないが、緊急性に鑑みて、多少の設置・運営基準の軽減はありうると思う)

例えば生活保護の中で大きな比重を占める母子家庭に対しても、保育の確保により就労問題を解決しないと、生むことが貧困につながり、罪悪のようにみなされる時代になってしまう。

個人の尊厳に関わる深刻な切羽詰まった内容が、そこにはふくまれていると見なければならない。(現にネットの世界では、生保受給者いじめまがいの非難と同様な、ギスギスした論調がかなり見られる)