まずは引抜き試験。
天井板崩落事故が起きた山梨県の中央自動車道笹子トンネル上り線で、崩落しなかった天井板のつり金具アンカーボルトを引き抜き試験した箇所の6割が、設計上の荷重耐久力を下回っていたことが1日、国土交通省の調査で分かった。
一方、ボルト自体やトンネル本体天井部コンクリートの強度は、ほぼ問題なかったことが各種試験により判明。ボルトやコンクリートではなく、固定部の接着剤の不足や劣化が崩落の原因だった可能性があり、国交省は成分解析などを進める。
引き抜き試験した183カ所のうち16カ所は、荷重が均一だった場合、計算上1本のボルトにかかる重量を支えられないほど弱かった。
これで分かったことは、ボルト自体やトンネル本体天井部コンクリートの強度は、ほぼ問題なかったこと。
しかし、接着剤犯人説に行っちゃう前に、強度設計上の問題と、そもそも打込みアンカーボルトという方式が正しかったかどうかという問題は残る。
次が1か月後の報道
2013/03/05 05:47 【共同通信】
9人が死亡した天井板崩落事故が起きた山梨県の中央自動車道 笹子トンネル上り線で、天井板のつり金具アンカーボルト183本の引き抜き試験をした結果、構造上は13センチ差し込まれているはずなのに、半分以下の5 センチしか入っていないものがあったことが4日、捜査関係者への取材で分かった。差し込みが13センチ未満のボルトは数本あった。
上り線はアンカーボルトが1万1613本あり、全体では差し込み不足はさらに多かった可能性が高い。
これで、話の辻褄は合うことになった。強度設計もアンカーボルト方式も接着剤も問題はなく、すべては施工の手抜きにあったということになる。
ただ調査委員会の最終結論はまだ出ているわけではない。
もし、施工主の手抜き工事に原因があるとすれば、業務上過失致死も問われる話になるが、施工会社名は明らかにされていない。(大成建設と大林組のジョイントとの情報もあります)
ちょっと気になるのは、後ろの記事の胡散臭さである。183本の中の4本が13センチ未満ということで、大した数ではない。5センチしか入っていないものがあったと、鬼の首でもとった言い方だが、6割が耐久強度を下回っていたわけで、その説明にはなっていない。
むしろ、設計上の荷重耐久力を下回っていた6割のうちのほとんどは、13センチ以上入っていたのにもかかわらず、支える力が足りなかったという事実のほうが重いのではないか。
しかも捜査関係者の「身内話」だから、その関係者がどちらの方面の“関係者”なのかも気になる。
写真を見る限り、ボルトのネヂ山は白い物質で埋まっている。おそらく接着剤であろう。とすれば、アンカーボルト屋さんが「絶対に抜けない」と言っていたのは間違いということになる。
手抜き工事も、点検の手抜きも明らかだ。しかし、それはそれとして、調査の核心は技術的な問題がなかったかどうかだ。いかにして落ちたのかを明らかにしないと、なぜ落ちたのかという理由は見えてこない。
各地で吊り天井の撤去が始まっているところを見ると、どうも、「アンカーボルトによる吊り下げ工法は駄目だ」という結論が出ているのかもしれない。
公表はされないが、それはなにか別な理由があるのかもしれない。
誰も刑事責任を取らなくて済むための調査発表のあり方とか…
コメント
コメント一覧 (1)
ケミカルアンカーはボストンのトンネルで同様な事故を起こしており、調査を高速道路保有機構がしていますが、だれも 見ていないようです
事故の修復費は施行関係社が支払っています。
ケミカルアンカーは既にすべて撤去されました。事実上間違いを認めています。多額の税金が投じられました。
公表はされないが、それはなにか別な理由があるのかもしれない。
ゼネコンと国土交通省のもたれあいと推定しています。警察も相手が国土交通省だと簡単には手が出せないのでしょう
誰も刑事責任を取らなくて済むための調査発表のあり方とか…
リーダーと崩落区間のゼネコンは長い間の付き合いで、トンネル業界の権威です。ケミカルアンカーの原因説を消すための調査委員会と感じています