アメリカは日本の農産物が高いのを「非関税障壁」として攻撃するが、実は安いものも「非関税障壁」なのだ。
その典型が軽自動車制度に対する攻撃だ。これは以前書いた。
もう一つが知財権を盾にした攻撃だ。
これが医薬品での「非関税障壁」突破のやり口だ。このことは前に、「国境なき医師団」の声明で紹介した。
「医者は儲けている。医師会は自分勝手だ」という理由でTPPを合理化しようとする論調がある。これについて、少し系統的に反論しようとしたが、チャベスの方にすっかり行ってしまった。
医療の話は他の人が十分やってくれているが、チャベスの話が出来る人はそういないからである。

医療の話は、国民皆保険の問題、混合診療の問題が大きく取り上げられているが、素人にはわかりにくいところがある。

しかし薬価の話は、軽自動車と同じで、だれにでも一目瞭然でわかりやすい話だ。しかも国民の懐にもろに響く、医療費が高騰というが、その主要部分を医薬品費が占めているわけで、これについては医師会に文句を言っても仕方ない。

前置きが長くなった。
本日の赤旗に保団連の寺尾さんが語っている。
これによると、

イギリスの薬価(患者薬価)を100とすると、フランス114,ドイツ168,日本222,アメリカ289で、3倍の開きがある。日本は高いほうだがアメリカはさらにその1.3倍だ。

この数字は保団連の独自調査によるもので、やや雑駁なものだ。もう少し基礎的な数字で抑えていかなければならないが、日本では薬代が高すぎることが医療費の高い原因となっていることはわかる。

しかもそれよりアメリカは高いのだから、そのままでは競争に勝てない。そこで臨床データの知財権保護を強硬に主張しているのだ。

ある意味では知財権は究極の非関税障壁でもあるのだが、アメリカはそういう矛盾には目もくれない。

TPPというのは、そういうアメリカの二重基準を丸呑みすることになるのであり、決して物価が安くなることにはつながらない。