さすがWSJ、この期に及んでチャベスをクソミソ
チャベス氏が残した教訓―カリスマ扇動政治家には要注意
社説はこのような書き出しから始まる。
チャベス 時代がようやく終わる。
ベネズエラ国民の生活はこれまで悪くなる一方だった。
1998年時点で、ソビエト連邦はとっくに崩壊 し、メキシコからチリまでさまざまな南米諸国は自由市場政策の導入に成功し、フィデル・カストロ議長はすっかり時代遅れの人物となっていた。
チャベスは、莫大の石油収益を得るという幸運に恵まれた。その結果、歴史の流れに逆らって進むことが可能となった。その資金のおかげで典型的な産油国独裁者にもなれた。
以下は、いかにチャベスが非民主的な独裁者であったかが、るる語られる。しかし02年に、クーデターで政府を転覆するという反民主主義の極致については口を拭ったままだ。
ついで、チャベス政権の経済運営の失敗を暴き出す。「電信柱が高いのも、郵便ポストが赤いのも、みんなあなたが悪いのよ」のデンで、ほとんどヒステリックだ。
①ベネズエラ国民、特に貧しい人々の生活は悪くなる一方だった。物価は1999年当時の20倍 以上になっている。
②物価統制と資本統制のおかげで日常的に食料・医薬品不足が蔓延している。
③資本は国外に逃避している。
④首都カラカスの殺人発生率は世界有数となっている。橋や道路は修理が必要な状態にあり、停電も多く、未処理の下水が飲料水を汚染している。
その原因としてあげるのが石油公社の失敗である。
①ベネズエラ国営石油公社(PdVSA)はほぼ解体されてしまった。(旧来の管理・支配機構という意味では確かに解体された)
②日産量は100万バレル以上減少し、2012年末時点では250万バレルとなっている。(解体された石油公社が250万バレルも生産していることになる)
その後も悪口雑言、てんこ盛りの社説はこう結ばれる。
ベネズエラ国民がこのチャンスをつかみ、痛ましいチャベス革命の遺産を、その指導者の遺体と共に葬ることを願うばかりだ。
アメリカが「葬ることを願う」というとき、それは「葬るぞ」という宣言と同じだ。
ところで
ベネズエラ国民、特に貧しい人々の生活は悪くなる一方だった。物価は1999年当時の20倍
以上になっている。
という一節、以前にも反論済みだが、さすがにこれはひどい。
たしかに物価上昇率は褒められたものではない。年平均20%前後の物価上昇が続いている。ビッグマック価格は堂々たる世界一だ。しかし必ずしも物価上昇イコール貧困化ではない。日本も高度成長時代に物価は数十倍になったはずだ。
このへんはまず物価指数で補正した実質GDPで評価するのが基本だ。人口が爆発的に増えている国では国民一人あたりGDPでみなければならない。そうは言ってもやはりドル換算してみないと、というなら購買力平価換算のGDP(USドル)で判断すればよい。
いちいち挙げないが、ベネズエラの経済パーフォーマンスが悪化しているというデータは、探した限りない。
貧しい人々の生活は悪くなる一方というのはほとんどデマに近い。逆のデータならいくらでも挙げることが出来る。そのほとんどは国際機関の折り紙つきだ。だからファイナンシャル紙さえ渋々認めざるをえない。
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