井上議員が参議院での質問で、日米TPP共同声明の3つの問題を指摘している。

第一は、共同声明の文言をめぐる問題。
「一方的に、すべての関税を撤廃することを、あらかじめ約束することを、求められるものではない」
これは素直に読めば、「交渉の場で例外を主張することを妨げない」という程度のものしかないということになってしまう。
交渉の結果、関税撤廃の聖域が認められる保証とはなっていない。「あらかじめ約束はしなくても最終的には約束しなければなりませんよ」と、日本側に釘を刺す文言としか受け取れない。

第二は、米国だけで済む話ではないということだ。
TPPは日米FTAではなく多国間協議である。米国がそう言ったからといって承認された事にはならない。加盟予定国すべての承認が必要だ。
現にニュージーランドは一切の例外措置を認めていない。

第三は、自民党の掲げた6項目の判断基準がまったく触れられていないことだ。
具体的に食の安全を守る、国民皆保険を守るなどの問題がまったく触れられておらず、きわめて抽象的だということだ。自民党が公約に掲げた6項目基準が守られる保証がなければ、参加には反対するのが筋ではないか、というもの。

いずれも説得力があり、一発で内閣を轟沈させるだけの迫力がある。

かつてGATTウルグアイ・ラウンドでのメインテーマは「例外なき関税化」であった。これさえも途上国にとってはかなり辛い選択であったが、今度は関税そのものが敵視され、その全面撤廃が求められている。困難さのレベルが違う。
はたしてこれが正しいのか、少なくともそのための前提条件が満たされないままの見切り発車が適切なのか、まずそこから考える必要がありそうだ。
私としては、この貿易と開発の原理・原則をめぐる重大な選択は、国連を中心に議論すべきだと思う。関連諸機関としては、とくにUNCTADとILOの参加が不可欠だ。