なるほどそう来たか 軽自動車優遇批判

TPPへの動きが本格化するなかでアメリカが最初のジャブを繰り出してきた。

叩かれてみて、自動車業界もそこがアキレス腱だったことがわかったと思う。

これまで自動車工業会はTPP参加の旗振り役だった。おそらく他の業界が打撃を受けても自分だけは大丈夫だと思っていたからだろう。

たとえば1年ほど前、自動車工業会の志賀俊之会長は、米国通商代表部が自動車と牛肉の市場開放、かんぽ生命保険の見直しを求めた事に対し、こう語っている
「日本への自動車の輸入関税はゼロで完全に解放されている。アメリカは2.5%の関税をとっている。どこを閉鎖的と言っているのか、具体的な中身を知りたい」
かなり挑戦的な発言で、アメリカ側の神経を逆なでした可能性はある。

この発言に刺激されたのか、アメリカ側は自動車工業会の分断に出たといえる。おそらく軽自動車を生産していないメーカーは心の底では賛成するだろうという腹だ。日本の一部にも、「本当にアメリカの口出しなのか、財務省やトヨタ・日産の工作もあるのではないか?」などという声があるそうだ。

背景には、世界的に見て高いといわれる自動車税(ただしこれは自動車工業会の資料)と、それに群がる運輸、警察官僚の利権構造への不満がある。アメリカの自動車を本気で売り込もうを考えているわけではあるまい。これを利用して「TPPも悪くはないな」という意識を作り出すためのキャンペーンだろうと思う。

これが通れば、スズキとダイハツは間違い無く潰れるだろうという。勝ち組とされた自動車産業でも選別が始まるわけだ。結局はトヨタ一社のために日本のすべての産業が犠牲になるというTPPの構造がますます浮き彫りになってきた。

私は軽自動車の規格は残すべきだと思う。日本の国土や道路事情に合っているし、エコノミーでエコロジーである。性能改善も進み、燃費も小型ハイブリッド車並みに改善されつつあるという。まさに高齢化社会、省エネ時代にはうってつけの車なのだ。

そのかわり快適感には欠ける。一般車と伍して走るには安全性が不安である。基本的には作りに無理があるだけに、耐久性にも問題がある。そのぶん安くてもいいと思う。
逆にいえば、それ以上の車に求められているのは、つまるところはラグジュアリーだから、税金が高いのはやむをえない。(それが官僚の利権の温床になっていることは、また別な話だ)

現行の自動車税は軽四なら7200円、排気量1リッターのいわゆるコンパクトカーなら29500円だ。これが2千を超えると4万円まで跳ね上がる。これなら多少の我慢はしても軽に乗る人が増えるはずだ。

軽自動車の比率はますます増大し、12年に36%に達した。近いうちに4割に達する可能性もあるという。
こうなれば、ひとつの文化だ。韓国は日本より貧しいはずなのに、街ではほとんど軽を見かけない。日本人に比べると、韓国人は見えっ張りなのだと思う。(かく言う私も見栄でトヨタ・ウィッシュに乗っているが)



今回の事態でもっとも重視しなければならないのは、口当たりの良い話で、非関税障壁の撤廃につなげようという狙いだ。非関税障壁と呼ばれるものには、文化とか公序良俗のすべてが含まれてくる。

額として一番大きかったのが郵政の簡易保険だったが、次には医療保険が狙われている。アメリカの医療保険会社にとっては、日本の医療保険制度そのものが“非関税障壁”なのだ。