内部留保については前にもだいぶ調べた。
「内部留保は工場や機械になっているから取り崩せない」
という主張は、ほとんどデマ宣伝であることが既にはっきりしている。
未だにそういう人がいたら、その人の言うことは信用しないほうが良い。平気で嘘をつく人間なのだから。

とりあえず、2011.7.25の記事「内部留保の意味も知らずに…」の一部を再掲しておく。

たとえばこんな記事がある。「内部留保の意味も知らずに内部留保を切り崩せと言わないでほしい」という題で、赤旗の記事に対して、「後ろ盾となっている理屈がめちゃくちゃ。嘘つきなのか無学なのか」と切りつけている。

この人はソニーではなくトヨタの人のようだ。どういう人かと見たら別に会計や経理の専門家でもないSE系の人のようだ。「嘘つき」はありうるが、共産党が「無学」なんてありえないでしょう。

で、赤旗のどこが滅茶苦茶かというと、

①「内部留保は隠し利益ではない」

こ れはたしかにあたっています。赤旗の記事は「内部留保(隠し利益)を…1.5倍も増やしています」と書いていますが、これは不正確です。ふつう「隠し利 益」というのは各種引当金の過大評価で税金逃れをしようとすることを指して言います。
ただしウィキペディアによると、日銀統計ではこれも内部留保にカウントしているようです。

②「内部留保は実は現金ではない」

内部留保の総額は大幅に増え、現金・預金資産は逓減し、設備投資は抑えられている。その代わりに「投資有価証券」は倍増している。これらの事実は誰の目にも明らかです。(図表略)

赤旗の記事はこれをもって「隠し利益」だといっているのではないでしょうか。赤旗はそれほど無学ではないと思います。

③「有形固定資産(土地・建物・装置など)が内部留保にふくまれている」

この文章は「トヨタの20年度の有形固定資産は8兆円弱ほどあります。これは実際にはお金を使っていますが、コストには換算されないので、利益を押し上げています」と続く。要するに内部留保とされているものは、実際には固定資産だと言いたいようだ。

このことをもって共産党は滅茶苦茶といっているのなら、言っている本人が滅茶苦茶です。内部留保は貸借対照表の右側に明記されますが、その運用は左を見てもわからないのです。他の諸表に当たるか、バランスシートの経年変化から追っていくしかないものです。

この20年間のあいだに内部留保が1.5倍に増えて、それに対応して左側項目の数字がどう動いているかが問題です。固定資産に行っていないことは一目瞭然です。(図表略)

内部留保は必ずしも現金や預金として保有されている わけではない」というくだりは、実は経団連の受け売りです。2011.2.28 の更進記録にも書いたのですが、経団連は今やこの主張を取り下げています。そのくだりを再掲します。

経団連の経労委報告が大きく書き換えられていたことが発覚しました。「内部留保は必ずしも現金や預金として保有されている わけではない」、現金や預金も「仕入れ代金や給与などの運転資金として確保する必要がある」
という記述が削除されたのです。

日銀が昨年12月に発表した資金循環統計によれば、民間法人が保有する金融資産のうち「現金・預金」は206兆円で過去最高となっています。今回の措置は、もはやこの種の詭弁が事実と食い違うことを取り繕えなくなったための変更でしょう。

④選挙前ということで確信犯でウソをばらまいているならまだかわいいのですが、本当に会計を理解せずに、間違った判断をばらまいているのなら問題は深刻です。

 これは慢罵です。言っていることはこれだけです。①だけにとどめておけばよかったものを…

内部留保が企業活力の源であることは疑いありません。それはかのバフェットも強調するところです。
問題は、トヨタマン氏が信じているのとは逆に、内部留保が有形固定資産(土地・建物・装置など)をふくむ生産的投資に回っていないところにあるのです。回らずにひたすら膨らみ続けることが問題なのです。