ボサノバの名曲百選を作ろうと思ったが、タンゴほどにはうまくいかない。
タンゴは基本的には過去のものである。例外はあるが基本的には1950年代に終わっているジャンルだ。しかしボサノバを広くとると、現在もまだジャンルとしての生命は終わっていない。
たとえば私の好きなマリア・クレウーザは70年代からだし、セルソ・フォンセカは90年代からの人だ。マリア・ベターニャはむしろMPBの人だ。
だからブラジルのすべての歌が関係してしまう。これでは到底まとめ切れない。
いろいろ考えてみたのだが、理由は2つあると思う。
一つはまだ名曲としての熟成が足りないということ。どんな名曲と言えども最初は誰かが作って、誰かが歌ってヒットしたものだということだ。
その作者と歌手がまだ生きていて、まだ現役で歌っていると、やはりそのオリジナルに惹かれてしまう。カヴァーするといっても、そこには遠慮がある。
まだ曲が属人性を脱却できず、曲として独り立ちしていないということだ。
もう一つはそれらを名曲として楽しむフアン層がまだ十分に形成されていないということだ。だからいろんなアレンジが出てきても、「やっぱりオリジナルだね」ということになってしまう。
タンゴは第二次大戦後の黄金時代に、同じ曲の競演の時代があった。だから「パリのカナロ」はどの楽団が良いとか、「淡き光」はどこが良いとかの比較ができる。そのなかで曲そのものの良さというものも浮かび上がってくる。
ボサノバがそういう時代になるにはもう十年くらいかかるのではないかと思う。
さてそれまでどうしましょうかねぇ…