自分でもいい加減さに呆れるが、先日セル・クリーブランド管弦楽団のイタリアが最高と書いたのに、こっちのほうがすごいと思えるような演奏を見つけてしまった。
ロリン・マゼール指揮のベルリン・フィルの演奏だ。
1960年4月 ベルリン、イエス・キリスト教会での録音というから随分昔のものだが、新カットで見事に蘇っている。“高精度なルビジウム・クロック・カッティングによって、よりマスターに忠実な音質を再現”したそうだ。
一体何だ。カットがすべてなのか?
確かに最新の音ではないが、必要な音は全部詰め込まれている。
とにかくベルリン・フィルがすごいのに圧倒される。こんなオーケストラがあったんだと感心してしまう。なにからなにまですごい。バイオリンがすごいし、チェロもすごい。木管がすごい、その上に乗ってくる金管がすごい。木管の色気と言ったら聞いていて身震いしてしまうようだ。フルートはゴールウェイだろうか。
マゼールだって、終盤の盛り上げのマゼール節など悪くないのだが、とにかくすごい。このオケならメトロノームでやってもいけちゃうんじゃないかと思う。

むかしマゼールはローリン・マーツェルと言った。新進の指揮者でユダヤ系アメリカ人ということだったと思う。
ベルリン・フィルのレコードはカラヤンが本命で、他の指揮者が振るのは安売りレコード用の録音だった。
学生にはカラヤン指揮ベルリン・フィルの正規版はとても手がでないから、ローリン・マーツェルやカイルベルトがカミだった。25センチ盤でマーツェルの「田園」、30センチ盤の片側に7番の全曲が入ったテレフンケンのカイルベルト盤を買った憶えがある。
「イタリア」と同じ頃の録音のはずだが、絶対こんなにいい音ではなかった。

マゼールについてはもうひとつ思い出があって、セルが死んだ後マゼールがクリーブランドの指揮者になった。それで、この組み合わせで日本に来て演奏した。そのときにあのクリーブランド管弦楽団が信じられないような音を出していた。テレビで見た範囲なので偉そうには言えないが、とにかくベルリン・フィル並みの音がしていたような気がする。
「あぁ、こういうゴージャスな音も、出せば出せるんだ」と感心した憶えがある。