ところでこの「告発文書」なるもの、内容が明らかにされていない。

とりあえず、1月31日の「スポーツ報知」で“関係者からの取材”というかたちで内容がうかがわれる。(この読売・報知報道以外に暴行の内容に関する記事が探せなかった。これも不思議だ)

現場を目撃した複数の関係者が暴行の実態をスポーツ報知に証言した。

「死ね」「ブタ」など常軌を逸した暴言を受けるなど、日の丸を背負う選手がショッキングな扱いを受けていた。

園田監督らコーチ陣と女子選手しかいない密室の畳で横行したパワハラ・暴行指導の実態が明らかになった。

こうべを垂れ、泣きじゃくる選手を小突き、平手打ちし、どなりつける―。

園田監督らは背中や尻を竹刀で叩き、頭部にゲンコツ、顔面には平手打ちを浴びせていた。

「特にA選手に対してはひどかった。Aは実力はあるけど、何度、教えてもできないタイプ。腹を立てた監督に何度もひっぱたかれていた」

けがを抱えた五輪代表へのしごきも壮絶だった。

「1本6分の乱取りを10本ぶっ続けでやらされ、男性コーチに代わる代わる(乱取りで)まわされていた。グッタリしながら投げられて、見ていて、かわいそう。ひどかった」

言葉の暴力も目に付いた。

重量級の女子選手の髪の毛をわしづかみにし「お前なんか柔道やってなかったら、ただのブタだ」と人権無視の言葉で 小突きまわした。

JOCの平真事務局長は語る。「提出された文書には言葉の暴力について記載されていた。 『死ね』とか、そういった言葉が練習の中で出されていたということだ」


多少の誇張や脚色があるかもしれない。しかしこれらの内容を「ほぼ事実」と認めたうえでの全柔連の判断は、“終わっている”としか言いようがない。

監督を庇いたい気持ちはわかるが、これだけ事実を突きつけられたら「あぁ、こりゃもうダメだ」と観念しなければならない。これが普通の管理者だ。

ことは「わるぎ」の問題とかオリンピック精神とかの問題だとは思わない。刑法上の犯罪の要件を満たしているかどうかの判断だ。司直の手に委ねるべきか否かの判断である。

この監督は完全にストーカーの心境に入っている。明らかに精神に異常をきたしている。排除しなければ危険だ。


医療事故の対応にあたった私の経験からも、これは痛切な教訓だ。まずは自らを虚しくし、顧問弁護士か監査役にすべての情報を提供して意見を求める。

私なら、警察対応も選択肢に入れた上で、本人に詰め腹を切らせる。その上で、自らの処分については理事会に委ねる。もちろん辞表は懐に入れる。

これを31日ギリギリまでかばおうとした上村理事長は、確信を持った共同正犯と言われても仕方あるまい。百歩譲ったとしても、日本の柔道界を代表する全柔連理事長として、哀れなまでに愚昧で無能である。