南沙諸島をめぐる一連の流れを見ていると、中国軍はかなりの程度で「関東軍」化していると思う。革命以来、中国軍は政府の管轄下にはなく、共産党の統制下にある。薩長同盟の私兵みたいなものだ。だから政府としては「それは共産党の方で考えてください」ということになる。

と なれば政府と党を統括する立場の習近平が責任を負わされることになる。これは死に体に近いところから復活したばかりの習近平にとっては大変辛い課題だ。し かし天安門を軍の力で乗り越えた中国共産党にとって、軍との関係を正常化することはいずれ避けられない課題でもある。さらに根本的には、社会主義とは無縁 の鄧小平路線を見直すことも避けられないだろう。(毛沢東はもうたくさんだが)

幸いなことに現指導部はかなりオールスターで固めているから、この数年間で党中央が軍事委員会から実権を取り戻すチャンスでもある。習近平にとってはのっけから「関東軍」を相手の命がけだが、ここは踏ん張って欲しい。

現下の情勢において主要な問題は、腐敗問題でも官僚統制でもなく、軍幹部を頂点とする軍産複合体との闘いである(ところで戴秉国はどうしているだろう?)