ついで、この事件を最も系統的に報道した赤旗から

チーフ・プロデューサーが証言した改変内容

1月29日 NHKの松尾放送総局長らが安倍、中川両氏を訪ね、番組への理解を求める。了解を得られず。番組を変更するので放送させてほしいと説明。幹部はスタジオへ取って返し、作り直しを指示。

編集作業は深夜に及び、44分ものだったのが43分になって完成した。

編集作業は

(1)日本軍による強姦や慰安婦制度は「人道に対する罪」であり、日本国と昭和天皇に責任があるとした「判決」の部分を全面的にカットする。

(2)スタジオ出演者の米山リサさんの話を数カ所でカットする。反対の立場をとる秦郁彦教授の話を大幅に追加する。

1月30日夕方 再度追加カットの指示。夜10時の放送まぎわまで編集が続く。(内容は略)


ということなので、中川経産相は嘘を付いている可能性がある。

安倍晋三の方はもっと変な言い訳をしている。

「NHK幹部が予算の説明で来た。NHK側が自主的に番組内容を説明」したというもの。

これでは「私は嘘を付いています」と告白したようなもの。予算の説明なら松尾放送総局長がしゃしゃり出るような話ではない。もし予算説明が主目的なら、明日の番組の説明を“自主的に”行うのはどう見ても理屈が立たない。そもそもNHKが予算案について根回しすることが正しいことなのか、という問題も残る。

この問題は集会を主催したNGOが誰なのかも、朝日新聞がどう絡んだのかも重要なポイントではない。

政治家が事実上の事前検閲を行い、介入し、それにNHKが従ったことにある。憲法21条「思想と言論の自由」にもろに絡む問題だ。

一方で政治家としての資質が、一方で日本を代表するジャーナリズムの中核としての基本姿勢が問われているのである。

それが、12年後の今もまったく同じ顔ぶれで再現されている。ここにNHKの異様な報道姿勢の根底的な危険性が示されているのである。