笹子トンネル崩落の原因は「アンカーボルト」の腐食ではなかった

週プレ・ニュース 12月10日号

12月2日、中央自動車道「笹子トンネル」で発生した「吊り天井板落下事故」はなぜ起きたのか?

NEXCO中日本の発表では、崩落したコンクリート板は約330枚。これらは天井裏に換気用スペースを作るためのものだ。コンクリート板は1枚当たり約1トン。これが6本の鋼鉄製「アンカーボルト」でトンネル天井のコンクリート壁とつながれていた。

今回の事件で、第一の「容疑者」に挙げられたのが、この「アンカーボルト」だった。しかし、建設資材業界などでは「アンカーボルトに、ぬれぎぬを着せるな!」という反対意見が多く出ている。
神奈川県内の金属建材部品メーカーの担当者は語る。
「笹子トンネルの天井に打ったアンカーボルトは今の荷重なら50年以上はビクともしないはず。それこそコンクリート板を1枚 ずつ重機でガンガン引っ張る
か、ボルトを焼き切らなければ、笹子トンネルの天井板は簡単には壊せません」

国交省の「調査・検討委員会」も、「アンカーボルトには目立った腐食などは見られなかった」と報告している。

防災建築工学の専門家・三舩康道氏は、1996年か ら98年にかけて起きた山陽新幹線のコンクリート剥落事故との共通性を指摘する。いわゆる「アルカリ骨材反応」が同時期に建設された笹子トンネルにも発生したのではないかという意見だ。


なおこの記事では、以下の衝撃的な事実も明らかにされているが、どうもあまり裏づけが取れなかったようで、控えめな表現にとどまっている。

大月~勝沼間開通直前の1976年11月に、会計検査院が旧・日本道路公団総裁に対して「工事監督不行届による笹子トンネルの強度不足」を指摘したのだ。その指摘の中でいわれた規定の厚さの約半分しかコンク リートが打たれなかった工事箇所こそが、トンネルの天井部分だった。

これが事実であれば、公団トップの刑法上の責任も問われることになるが…