A型は「エデンの東」を目指す
能見正比古と分子人類学

恥ずかしながら、昔は能見正比古の「血液型人間学」の愛読者だった。
まぁ科学的装いを凝らした性格占いの一種なのだろうが、日本人のほとんどが自分の血液型を知っているという特殊状況の下で、その信仰は意外なほどに根強い。日本で最大の宗派ではないだろうか。
ところで、mtDNAの論者、HLAの論者、T細胞白血病ウィルスの論者、Gm遺伝子の論者など、その理論構築の方法が驚くほど能見と似通っている。
かれらも能見の「血液型人間学」を読んで理論構築の方法を学んだのではないかと、思わず疑ってしまうほどである。

かくいう私も、隠れ信者として、古畑の「A型」分布説を見ながら思ったのだが、日本人に特異的にA型が多いのは、A型だから日本に集まったのではないかと思ったのである。

私がA型人間の典型として思い浮かべるのは、健さんとか鶴田浩二である。きわめて常識的な人間で、忍従に忍従を重ねるが、「もがまんならねぇ!」となると、よほど思い切った行動に出る。美学の世界にスリップインするのである。

B型は生存本能で生きるから、大きな間違いはしでかさない。AB型はA型より過激だが根性がない。

縄文人はA型は少なかったようだから、A型頻度を上げているのはもっぱら弥生人である。
日本には、なにかA型弥生人を惹きつけて熄まない「エデンの東」的な要素があるのではないか。