習近平体制が発足するのにあわせ、その目指すべき経済モデルが注目される。

そのありようを示唆する一つのこころみとして、習近平の右腕と目された薄熙来による「重慶モデル」がある。24日の赤旗によると、重慶モデルは三つの柱からなる。

1.毛沢東の文化大革命の復活。文革当時の革命歌をうたう「唱紅歌」運動で、「人民の精神を奮い起こす」キャンペーン。

2.「打黒」キャンペーン。暴力団一掃のためと称し、民主的手続きや法律を無視した強権的捜査。

3.「共同富裕」のスローガンの下、低所得者向け住宅の建設など民政改善政策を進める。

そして、中央は「重慶モデル」を全面否定。温家宝首相が文化大革命の復活と封建制度の復権は許さないと力説した、と報じている。

はたして、この批判は当を得ているのだろうか? 率直に言って疑問を抱かざるを得ない。

第一に、習近平や薄熙来など太子党の連中は、親子ともども文化大革命ではひどい目にあっているはずだ。むかしの革命歌を歌って大衆を鼓舞したからといって、文革を再現しようとしたとは到底思えない。

薄熙来のやりかたが相当強引だったことはたしかだろう。その過程で蓄財にいそしんだ可能性も否定できない。ただ何をやろうとしたかという意味では、3.の「共同富裕」が唯一論争の対象とすべき問題だろう。それは暗に中央の経済政策に対する批判ともなる。

四川省の人口はきわめて多いが、その暮らしは依然としてきわめて貧しい。中国の経済発展の矛盾が集中して現れているところだと思う。逆に言えば、もっとも発展の可能性が残されている場所でもある。

そこで「共同富裕」の観点に立つ経済政策を実行しようとすれば、北京や上海にとってはあまり面白くはなかろう。「薄熙来が独立王国を作るのではないか」との疑心暗鬼に駆られたとしてもおかしくはない。

どうもそんな考えがして仕方ないのだが…