恥ずかしながら知らなかった。
最近は小説などトンと読まぬが、高校時代は高見順は大好きな作家の一人だった。浅草モノの本を片手に六区の裏通りをほっつきまわったこともある。

赤旗で日本チャプリン協会会長の大野裕之さんがチャプリンのエッセイを書いている。
その中の一節で高見を鋭く批判した。

戦時中に作品を見た作家の高見順は、連戦連勝のヒトラーに立ち向かうのは何事だとばかりに、映画「独裁者」を「天に唾を吐くがごとき行為」と罵倒した。
むろん、天に唾を吐いたのは高見の方で、歴史はチャプリンの正しさを証明する。


このことを高見がどのくらい恥じていたのか、あるいは恥じることなく忘れ去ったのか。かつて高見に限りなく共感した私の責任として、そこは押さえておかなければならないだろうと思う。