購買力平価というのが良く分からない。

OECDで出している統計だから、心情的にはドルを基準としているのだろうと思う。アメリカ人になったつもりでこの数字を見なければならない。

たとえば外国へ行くとする。現金で払う機会は、タクシー、食事、コーヒー、ビール、ミネラルウォーターというところか。私が行くのはたいていは途上国だから、一般的には物価は安いことが多い。韓国なら1/5、中国なら1/10くらいだろうか。もっともだいぶ前の話だが。
逆にユーロ圏に行くと物価が高いのに驚かされる。アメリカでもマイアミ空港のスタンドバーでビールの小瓶が1本で5ドルもしてびっくりした。

そういう日本も一昔前は1ドルの実勢価値は約180円といわれていたから、現在が110円であれば、ドルに対する価値は1.5倍くらいに上がっていることになる。当時の為替相場が120円見当だったから、結局、実勢価値と為替相場は約1.5倍の乖離=実質的円安を伴いながら、平行して1.5倍円高に振れたことになる。(この“構造的”乖離の原因については、それ自体としての検討が必要であるが、この際はパスする)

とすれば、投機資本の撹乱はありつつも、結局円の実質価値が上がったことが円高の原因ということになる。これはデフレーションである。
デフレーションはそれ自体は価値中性的なものであり、一つの均衡状態からもう一つの均衡状態への移動である。移行過程においてはさまざまな事象を呼び起こすが、あるところに落ち着けば、それはそれとして一つの状況である。

むしろ、その移動が何によってもたらされたかによって、表現のしかたは変わってくるだろう。一般的には、デフレをもたらすものは過剰所得か過少消費か、あるいはその組み合わせである。そして富の不均衡、分配の不均衡が過剰所得と過少消費をもたらす。そのゆえにデフレーションは社会病理現象となることが多いのである。

うーん!
たしかに購買力平価という概念を挿入することによって、かなりすっきりしたぞ。

円高の原因は富の不均衡にあるのだ。

だれか、経済学者(エコノミストでなく)がこのアイデアを立証してくれないかなぁ。