2回目は投機筋が円を買う理由。今宮謙二先生がこの連載にかかわっているようだ。
三つが挙げられている。
1.経常収支
貿易収支は赤字構造化したが、所得黒字が増えて経常収支を押し上げている。日本は約10兆円(1千億ドル)の黒字、これに対しアメリカが5千億ドル、EUが1千億ドルの赤字だ。これなら円に群がるわけだ。
2.外貨準備
日本の外貨準備は1兆ドル強。中国に次いで世界第二位。その9割が米国債であり、円の強さはドルで補強されている。
3.対外純資産
対外純資産残高(海外勢による対日投資を引いたもの)は、国としての余剰マネーを意味する。
対外資産・負債残高は250兆円。これは21年連続でダントツの世界一。

ここまではよく整理されており、良いのだが、これは日本のパーフォーマンスが意外に悪くないのだぞという事実であって、それ自体は投機筋が円を買う理由にはならない。

おそらく、それに付け加えて、ドルにきわめて忠実であること、円とドルとがエクイヴァレントと考えられていることが大きいのではないか。

さらにそのあとの今宮先生のコメントもちょっと引っかかる。

対米従属は安保条約第二条、「日米両国は国際経済政策における食い違いを除く」という条項のためである、と指摘しているが、そう単純なものではないだろう。それでは中国が米国債保有ナンバーワンという事実が説明できない。これについては2011.10.25のブログ記事
「弱者の自由」の実現が真の自由化だ: 「国際通貨」パネルディスカッションの読後感」を参照されたい。

記事の最後はこう結ばれている。

ドルにとって代わる基軸通貨が見えてこないため、ドル体制は当分続かざるを得ません。
日本がドルを支える姿勢を変えないと、円高も続くことになります。


前段はその通り、後段はほとんど間違いといってよい。ドル基軸通貨体制の下でも円高は是正できるはずだし、しなければいけないのだ。
スティグリッツは「つまるところ為替問題は貿易不均衡によりもたらされるのだ」といっている。
内需を拡大し、労働者の雇用と所得を守れば、日本の経常収支は急速に「悪化」し、貿易不均衡は解消される。景気が上向けは海外資産は国内に還流し、金満国家の贅肉はそぎ落とされる。

ただし、現在の貿易赤字は高いLNGを買い続けていることによるものであり、貿易不均衡の真の解消とは程遠いものであることは、付け加えておかなければならない。