小選挙区制度の下で、自民党は4割の得票率で8割の議席を確保した。
これ自身も問題だが、実は棄権率の大幅上昇のほうがはるかに重大な問題ではないだろうか。
4割という数字は、それほど低くはない。決選投票制のない大統領選挙なら勝利できる。

しかし各種世論調査では自民党は2割だ。
だから「4割の得票で8割の議席」ということよりも、「2割の支持で8割の議席」ということのほうが本質的だ。

小選挙区制は二択制である。自民党か民主党のどちらを選ぶしかない。そこには「より少ない悪を選ぶ」という選択もありうるが、今度のように両方ともひどいと、事実上選択肢はゼロとなる。「選挙で自民党も民主党も拒否し、政治を変える」という展望を失った国民は、棄権に回ることになる。
この棄権率の高さこそが、日本における民主政治の危機の表現だろう。

結論としては、「小選挙区制が怒れる国民からその表現の手段を奪い、政治不信を増幅している」ということになる。国民は所得を奪われ、それに抗議する手段を奪われた。これがファシズムと暴力に結びついていかなければよいが…