赤旗で「検証 超円高」というシリーズが始まった。

1.円高は購買力平価との比較で決まる
まず眼を引くのが、円高のもう一つの定義、購買力平価との比較である。
これまで円高といえば、一日前、1ケ月前、1年前という風に、傾向でみることが多かったが、赤旗では購買力平価との比較で見るべきだという提起である。
購買力平価の定義だが、これはOECDが決めているそうだ。それによると11年が1ドル=107円。円相場が80円なら、(107-80)÷107=25%の円高ということになる。ドルの側で見れば分母が80になるから、30%を越える。この差益を輸入業者が吸い取っていることになる。

2.円高をもたらしているもの
赤旗は、直接の原因として欧米諸国の金融緩和競争、円高が解消されない原因として、輸出大企業の「国際競争力強化」路線を挙げている。

A)金融緩和競争
各国政府側の問題と、市場側の問題がある。
①ユーロ圏諸国政府は、ソブリン危機により国債発行が困難となり、財政が逼迫している。欧州中銀の金融緩和以外の積極策はとり得ない状況となっている。アメリカも財政の崖問題を抱え、QE3の発動に追い込まれた。
②内需の冷え込みより、市場は資金を消化できず、そのほとんどが投機資金となっている。
③この投機資金が、雨宿り先として、日本の金融資産を買い付けるために円高を招いている。
ということで、これは多くのエコノミストの見解と一致しており、とくに新鮮味はない。しかし、逆に、これまで赤旗が強調してこなかったこの側面を、円高の主因としてあげたことが意外感をもたらす。

B)「国際競争力強化」路線
輸出大企業はこの間も国際競争力を維持してきた。それは主要には労働コストの削減によるものであったが、その是非はここでは問わない。
結果として大量のドルを獲得し、それを円に還元するために円高が維持される構造が出来上がった。

ということで、上がる原因と下がらない原因とを並列表記している。たしかに事実としてはその通りだろうが、両者を統一的に把握する視点がないために、いささか飲み込みにくい論立てになっている。
とくに、これだけの円高のなかで円売り外貨買い圧力がどうして強まらないのか。3割もの需給ギャップがあるのに、市場メカニズムがどうして働かないのかについての分析がない。これは輸出大企業うんぬん以前の問題だ。

購買力平価との比較で円高を見ていく着想は良いのだが、そのあとが息切れしている。第2回目以降に期待したい。