おお友よ、このような音ではない!

ベートーベンの第9交響曲の合唱の歌いだしの文句だ。
今度の選挙結果にぴったり当てはまる。

今回の選挙の特徴は二つあると思う。
一つは、財界・メディアとアメリカがさまざまな手練手管をもちいて、とりあえず勝利したということである。彼らは前回選挙での歴史的大敗北のあと、民主党を囲い込み鎖につなげることに成功した。そして民主党の人気ががた落ちとなったあとも、それがさらに革新の方向に向かうのを食い止めることが出来た。
戦術的には大成功であったが、それは政治のゆがみをさらにひどくしている。このままでは行かないことは、彼らが一番良くわかっているだろう。
もう一つは、国民の怒りが爆発したということである。小選挙区制の下では民主党を落とすことは自民党の勝利につながるが、そんなことは関係ない。とにかく許せないという怒りが爆発した。その怒りの強さを我々は目の当たりにしたわけだ。
この怒りは、今後の日本の流れとしてみる場合、二つの側面から見ることができる。一つはこの怒りが、国民の強まる「不寛容」の表現であることだ。いらだち、ささくれ立っていることの表れだ。
他方、この怒りは、いやおうなしに政治革新の方向に向かって動かざるを得ないということだ。政治革新というのは国民の希望があり主体化があって前進するものだ。
そもそもこの怒りは何によってもたらされたかを思い起こそう。4年前に日本が旧来型の体制から大きく踏み出そうとしたから、それに多くの人が期待したからこそ湧き出した怒りではないか。だから、失望と怒りの底には希望があるのではないか。

われらが口にすべき歌は、「怒りや恨みの歌」ではなく、「希望と歓喜の歌」でなければならない。その怒りを新たな社会への希望へと結び付けていかなければならない。