昔から、ロシアのマイナー作曲家は気になる人々である。

マイナーといっても、ではメジャーとは、といわれると案外いないもので、チャイコフスキーにムソルグスキー、ボロディンにリムスキー・コルサコフ、すこし下ってラフマニノフ、さらにショスタコービッチにプロコフィエフといったあたりか。学校の音楽室に飾ってある写真はこんなものだろう。ストラビンスキーはロシアに入れるべきかどうか分からない。

したがってマイナーという範疇にはそれ以外の人々が入るのだが、マイナーというには躊躇する人もたくさんいる。

とりあえずグリンカ、バラキレフ、キュイ、リアドフ、グラズノフ、アレンスキー、スクリアビン、タネーエフ、イッポリトフ・イワノフ、降ってハチャトリアンとカバレフスキー、それにシュニトケあたりか。ロシアには「幻の…」という連中がごろごろいるから要注意だが。

これだけの連中の重い曲を聞くのはさすがにヘビーなので、まずはアンコール・ピース的なものからということで、手を着け始めた。

最近はありがたいもので、youtubeで、音質さえ目をつぶればたいていの曲が聞けるようになっている。そうなると逆にどう手をつけたらいいか分からない。とりあえず何かガイドはないかと思ったら、手ごろなCDがあった。

ウラジミール・トロップという人の演奏した3枚組みのロシア・ピアノ小品集というCDである。

1枚目 「アルバムの綴り」

チャイコフスキー

1. 夜想曲*2つの小品  2. 6つの小品から「アルバムの綴り」  3. 中級程度の12の小品から「ワルツ」嬰ヘ短調

リャードフ

4. 3つの小品から「前奏曲」ロ短調  5. 音楽玉手箱 

スクリャービン

6. 3つの小品から「練習曲」嬰ハ短調  7. マズルカ嬰ハ短調  8. 夜想曲嬰ヘ短調  9. 3つの小品

メットネル

10. おとぎ話ロ短調  11. 3つの小品から「葬送行進曲」  12. 8つの情景画

ラフマニノフ

13. 前奏曲変ト長調  14. サロン小品集から「ユモレスク」ト長調  15. 断片  16. 前奏曲嬰ト短調


2枚目 「ロシアン・メランコリー」

グリンカ

1.  夜想曲《告別》   2.  マズルカの思い出  3.  《小組曲》より「修道院にて」   

ボロディン

4. 《小組曲》より「夢」  5. 《小組曲》より「間奏曲」  6. アルバムの頁から「瞑想」    7. 即興曲 作品16の1  8. メランコリー 作品51    

9.  おとぎ話オペラ《クリスマス・ツリー》より 「ワルツ」  10. マズルカ イ短調 作品8の9   11. 無言歌ニ長調  12. 悲歌  13. エレジー        

3枚目 「夕べの夢想」

チャイコフスキー

1. 夕べの夢想  2. 熱い告白  3. 涙  

ムソルグスキー

4.  カンタービレ 作品20の5

キュイ

5. ワルツ 作品31の2  6. 前奏曲ヘ長調  7. ロマンス 作品53の3  8. 即興曲 作品25の1  9. 「晩祷」より 第5曲 「汝のしもべを逝かしたもう」(シメオンの歌)  10. 舟歌 作品10の3  11. カノン  12. 前奏曲 作品27_1 ト短調  13. 前奏曲 作品27_2変ロ長調   14. ワルツ   15. 辻音楽師 作品39の24  16. 教会で 作品39の23

チャイコフスキー、ボロディン、キュイが圧倒的に多いことが分かる。少なくともトロップというピアニストが、キュイに非常に傾倒していることが分かる。私も同感で、キュイの曲はまず平明で、一度聞いてすぐその良さが分かる。私はロシアの中山晋平ではないかと思う。

ウィキペディアによると、

キュイの才能は、歌曲や器楽の小品に具現されているように、雰囲気を瞬間的に結晶することにある。作風は、他の「五人組」に比べると、さほど民族主義的でない。シューマンや同時代のフランス音楽に比すべきものである。

ということなので、初心者にはとっつきやすいのかもしれない。

ヴァイオリンとピアノのための24の小品『万華鏡』Op.50(有名な『オリエンタル』がふくまれる)

ピアノのための25の前奏曲op.64 (1904年)

がしばしば演奏される。

youtubeでは、「万華鏡」の全曲がPeter Sheppardのバイオリンで聞けるが、前奏曲の全曲演奏はないようである。