2012.12.13

ドイツ銀行の摘発の理由

整理して一本にまとめました

Ⅰ. ドイツ検察当局がドイツ銀行の一斉捜査に入った

出勤途中のラジオで聞いた。衝撃のニュースだ。ネットでもまだほとんど情報がない。午前10時現在の情報をとりあえず紹介する。

結局、NHKニュースが一番簡潔で要を得ているようだ。以下がその内容。

ドイツ大手銀行に巨額の脱税容疑

12月13日 7時56分

ドイツの検察当局は、国内最大の民間銀行「ドイツ銀行」が、温室効果ガスの排出権取引の際に巨額の脱税を行った疑いがあるとして、頭取らの取り調べを開始しました。最大手の銀行のトップを巻き込んだスキャンダルに波紋が広がっています。

ドイツのフランクフルト検察庁は12日、国内最大の民間銀行、ドイツ銀行が温室効果ガスの排出権取引の際に巨額の脱税や、いわゆるマネーロンダリングを行った疑いが強まったとして、フランクフルトにある本店や国内の複数の支店などを500人規模で捜索したと発表しました。

検察によりますと、取り調べの対象になったのはドイツ銀行の行員25人で、このうち5人はすでに逮捕したということです。また、残る20人にはトップのユルゲン・フィッチェン共同頭取が含まれているとしています。

ドイツのメディアは、ドイツ銀行が排出権取引の際に生じる売上税の支払いを免れるよう顧客の企業に助言していた疑いがあり、脱税の総額は少なくとも日本円で数百億円に上るとしています。

ドイツ銀行は「捜査には全面的に協力する」としていますが、検察側は行員が証拠を提出しなかった疑いがあることも明らかにし、ドイツ最大手の銀行のトップを巻き込んだスキャンダルに波紋が広がっています。

ユーロニュースによると、「ドイツ銀行のフランクフルト本部が急襲された」とありますが、まさしくそのようなものだったようです。下がロイターの写真です。

1355498834

Police vehicles are parked outside the headquarters of Germany's largest business bank, Deutsche Bank AG in Frankfurt December 12, 2012. (Reuters / Kai Pfaffenbach)

イッツ、ショータイム! という感じですね。ずいぶんド派手にやったもんだ。このド派手さも、重要な要素のひとつだろう。

ユーロニュースでNHKニュースと違うところを拾っていくと、5人の逮捕者のほかに、すでに6人の人物(ドイツ銀行員ではない)が逮捕され、有罪判決を受けているということだ。その背後にドイツ銀行が居るといううわさはずっと流れていたようだ。そこから芋づる式に全容が明らかになってきたのだろう。

脱税の手口も明らかになっている。6人は海外からの排出権買い取りに際して税金(付加価値税)を払わなかったが、国内でそれを転売した。このとき税の還付が発生し、彼らはそれを受け取った。という分かりにくい手口だ。

次に4時間前のCBSニュース。AP通信の配信によるものだ。

重複部分を除いて紹介する。

ドイツ銀行の共同最高責任者Juergen Fitschenと金融部長シュテファン・クラウゼが、脱税調査の一部として尋問を受けている。彼らが会社の2009年の税申告に関して、排出権取引事業の利益を隠匿した疑いがかけられている。しかし逮捕された人物のなかに二人は含まれていない。

フィッチェンは2009年当時には、ドイツ銀行の地区責任者であった。今年初め、co-CEOとしてAnshu Jainとともに業務を引き継いだ。

ドイツ銀行はほかにも、元従業員によるLiborなどの基準金利の不正操作で訴訟を起こされている。その問題で罰金が課せられたときに備えて、資金準備していたのではないかとも言われている。(has said it has put aside money for potential penalties in the matter.)

APの記事は散漫で分かりにくい。ロイター電の方が整理されている。

共同通信は週刊シュピーゲルの電子版を丸写しして送信している。

フィッチェン、クラウゼ両氏は2009年の納税証明書に署名しており、当時税務の責任者だった。

と、だいたいここまでが、現在までに判明した事実。

ドイツ政府の決断の背景は?

ドイツ銀行は二つの意味で新自由主義の象徴である。

一つはそれ自身が巨大な投機資本だということである。ユーロダラーの最大の仕手方の一つであり、自己勘定取引はやり放題で、かなり下品な経営を続けてきた。ユーロ圏諸国にとっては巨大な害虫である。

もう一つは、ユーロ共同債に抵抗するドイツ国内勢力の最大の柱だということである。ユーロシステム維持を最大の目標としているドイツ政府にとっては、いずれガチンコ勝負をやらなければならない相手だ。

この時期、ここまで踏み込むには、何か訳があるのだろう。

ということで、これが、ドイツ銀行へのガサ入れと関連するのか? というニュースが、手入れの前日にあった。

[ブリュッセル/ベルリン 12日 ロイター] 欧州中央銀行(ECB)による銀行監督一元化を柱とする銀行同盟構想をめぐり、ドイツが歩み寄りの姿勢を見せ始めており、難航している協議を打開できる可能性が出てきた。

という記事。

ショイブレ財務相は12日の欧州連合(EU)財務相理事会を前に、合意できる可能性について「楽観している」と閣議で発言した。

この発言に関連して、あるドイツ高官は、匿名を条件にロイターとの会見に応じた。

高官は、「われわれは大きな前進が見られると期待しており、おそらく(交渉の行き詰まりを)打開できるだろう」と指摘。 「われわれは銀行監督問題の解決に貢献する用意がある。多少の疑問点はあるが、今日の財務相会合で問題を解決できれば、ドイツは合意を妨げない」と語っ た。

ユーロ圏諸国はこれまで場当たり的な対応に終始してきたが、銀行監督一元化で合意できれば、3年前の危機発生以来初めて抜本策を打ち出すことが可能になるほか、経済・財政改革の深化への地ならしともなる。

これまでドイツ政府は、銀行同盟構想をめぐって、「銀行監督の最終権限をECBに委ねるべきではない」と主張してきた。これは「最終的な責任をECBが負うべき」 とるフランスとの対立点となり、協議がこう着していた。さらに、ECBが直接監督する銀行の数、監督開始時期などが主な争点となっている。

ロイターが入手したドイツ側の譲歩案では、ECBの日々の監督対象を資産規模が300億ユーロ以上、もしくは本国の経済規模の20%以上に相当する銀行に絞る。またユーロ圏で3カ国以上にまたがって事業を展開する銀行もECBの監督対象となる。

どうでしょう。モロにドイツ銀行が絡みますね。それにしてもこの“高官”、すごいことを言ってますね。まるでガサ入れを予期しているようです。

ドイツ銀行はバークレイズ、JPモルガンと並んでこの世界の悪の三大巨頭です。しかも唯一のユーロ圏銀行です。ドイツ銀行をどうするかを抜きにユーロ圏の金融再建は語れないでしょう。

カーボンとか排出量取引などはどうでもよいことで、たまたま使い勝手が良かっただけのことではないのでしょうか。