総選挙に向けての政策が発表された。
総括的なもので経済政策はそれほど詳しくない。

(2)大企業の260兆円の内部留保を、雇用や中小企業に還元します

というあたりが中核となっている。
ここでは8つの項目が挙げられている。
そのうち6項目が雇用・賃金にかかわるもので、残りの二つが「公正・公平な取引のルール」と「中小企業の振興」である。

注文1 緊急策も必要
内部留保を雇用・賃金を通じて国民に還元するというのは、もっともまっとうな方法であることは間違いない。
ただ多少時間がかかる。その多くが立法化措置を必要とするものだからだ。
6項目のうち立法化の必要なものが解雇規制法の新設、労働者派遣法の改正。行政指導である程度いけるがかなりの力技を要するものがリストラの規制、リストラ・アセスメント制度の創設、全国一律最低賃金制の実現。

もう一つは大企業は相当厳しいリストラを行っており、賃上げの恩恵にあずかる労働者の数はけっして多くないことだ。多少の賃上げでは、内部留保の吐出しまでには至らないと思う。

注文2 海外流出の防止との組み合わせが必要
さらにここだけやっていても、企業の海外流出に歯止めはかからないと思う。海外投資への課税や海外資産への課税など海外流出へのペナルティーを強化しないと実効性が乏しくなる。円高防止と称して海外M&Aを奨励するなど、愚の骨頂だ。

注文3 社会保険料負担の正当な取り立てを強調すべき
もう一つが、年金・社会保険料の取り立てだ。非正規・派遣社員であっても実効的に労働実態があれば、それに比例して保険料の企業負担分を支払わせることが 必要だ。これは現行法規の枠内で十分やれることであり、厚労省の裁量一つで決まる話だ。払わなければ脱法行為とみなされ、課徴金の対象となるはずだ。
ただ中小企業にとってはかなり厳しい状況も予測されることから、配慮は必要だろう。

注文4 震災復興債をもう一度提起
一方で、一時力を入れていた「復興債」構想は姿を消してしまった。「復興税」が問題をふくみつつも成立した以上、復興債はもはや不要なのか。私にはまだ有効性は失われていないと思う。“国土強靭化”などはそちらで議論すればよいと思う。
大企業の内部留保からの拠出を前提とした復興債の構想は、復興税との棲み分けもふくめ、もう少し検討してもよいのではないか。