テレビでガザの停戦合意が実現したと聞いたときは、「あれっ」と思った。
過去の経験から言えば、イスラエルは必ずやると思っていたからだ。

①とくに「イラン攻撃をやる、やる」といいながらやれないでいることで、国内の強硬派には相当フラストレーションがたまっている。次の選挙を控え、ガス抜きという観点から見ても、ネタニヤフはやらざるを得ないだろうと思っていた。
②もうひとつは、シリアの内戦状態がイスラエルにも不安をもたらしていることから、近隣諸国へのイスラエルの軍事的プレゼンスを改めて確認させるためにも、「ガザを叩いて置いて損はない」という発想になるのが自然だろう。
③ハマスも、かつてない規模のロケット弾を打ち込むほどに戦闘力が強化されており、これを放置することは重大な禍根を残すことにつながりかねない。

軍事的には、やらない理由は一つもない。それが出来なかった。その意味するところはかなり重大である。

少しづつ情報が流れてきている。まず赤旗の小泉大介特派員の報告から。(それにしても大ちゃんいつまで居るつもりなんだろう)

まず注目するのは今回の調停役がエジプト一国だといういうこと。しかもその態度は、たんなる中立的介入ではないということである。

モルシ政権は、空爆開始2日後の16日にカンディール首相をガザに派遣し、「イスラエルの侵攻を停止させるために全力を尽くす」と表明しました。


しかもその介入を、ほかならぬアメリカ政府が支援したということである。

エジプト政府はハマス最高幹部とイスラエル高官との個別の停戦協議を主催。国連の潘基文事務総長が後押ししたことに加え、イスラエルの最大の後ろ盾である米国のクリントン国務長官も協力する状況が生まれました。


アメリカはたんにモルシにまる投げしたというわけではない。21日にはオバマがモルシに電話し、ガザの状況改善に向け協力することで合意している。アメリカはモルシ調停に積極的にかかわっていたのである。

オバマはモルシに謝意を表明するとともに、両首脳が悪化するガザの状況の改善に向け協力することの重要性を指摘しました。

さらに、決定的な要素ではないが、もう一つのムスリムの強国トルコも、明確にハマス支持の立場をとったことである。

かつてイスラエルと「戦略的関係」にあったトルコのダウトオール外相も、アラブ代表団とともにガザ入りし、犠牲者遺族を見舞いました。

このような地政学的なバランスの変化がどうして生まれたのか。

小泉特派員は中東地域の諸国の変化こそが最大のポイントだとしています。そしてその象徴的なメッセージを紹介しています。

チュニジアのアブデッサラーム外相は停戦合意直前にガザ入りし、「イスラエルは状況が変わったことを理解しなければならない。イスラエルはもはや自由に行動することなど出来ない」と語りました。

その意味するものの内容は不明ですが、発言にはそれなりの裏づけがあってのものであり、それが停戦合意で明らかになったということでしょう。

停戦合意の骨子は次の通り(時事)
①すべての敵対行動の停止
②移動制限の緩和(封鎖の全面解除ではなく、実施も即時ではない)
③問題がある場合は、自体を調整するために、合意を発案したエジプトに通知。

ということで、最後の一文が非常に利いている。これではイスラエルにとっては全面敗北に近い。ガザの民衆が大喜びするわけである。

今回の出来事ではっきりしたのは、イスラエルという国は「虎の威を借る狐」であり、アメリカの支援がなければまったく無能力だということである。

しかしこれでイスラエルが治まるとは到底思えない。問題はこれからである。オバマがユダヤ系圧力団体の攻勢をどう受け止めるかが見ものである。