今朝のニュースで、中国共産党の新指導部が紹介された。
それはそれで良いのだが、どうも中国通の解説が、一貫してぶれているような気がしてならない。

とりあえず感想的にしかいえないが、江沢民と湖錦湯の喧嘩というのはウソだろう。

一時は、失脚したかと思った習近平が、結局は主席に就任した。これは湖錦湯らの習近平追い落とし作戦が失敗したということだろう。逆に大会間近になってから、温家宝スキャンダルがばら撒かれるなど逆ねじを食わされた形だ。

それを跳ね返した力がどこにあったのかは、政治局常務委員の顔ぶれを見れば分かる。大方の予想をひっくり返す形で常務委員についたのは北京、天津、上海のトップだった。しかも彼らの多くは60歳を越えている。年齢から見れば、当然次はない。一期限りの就任だ。要するに現場の長老の合議体制が暫定的に敷かれたわけだ。

なぜそうなったか、理由は定かではないが、やはり湖錦湯ファミリーのはしゃぎすぎや、中央テクノクラートの強引な「改革」に危機感を持ったと考えるほかない。尖閣諸島での冒険主義も、民衆はともかく、幹部のあいだでは評判を落としただろう。

それで、とりあえず挙党体制を敷いて、少し時間を置きながら次世代へ委譲していくことを考えたのではないだろうか。
もともと湖錦湯は1年前の時点でレームダック化していた。それを政治権力を使って盛り返してきたのだが、基本路線で支持されてきたとは考えにくい。

そう考えると、今回の人事はきわめて妥当かつ健全なものだったと見てよいのではないだろうか。私としては、数年前までの鮮やかな中国外交の復活を期待したい。ただ、湖錦湯のバックには強大化した企業集団や軍産複合体が控えており、今後とも内部闘争は続くと考えなくてはならないだろう。