GDPマイナス3.5%にはさすがにショックだ。

 内閣府が12日発表した2012年7~9月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.9%減、年率換算で3.5%減となった。(12日付け日経)

貿易赤字くらいでは別に驚きはしない。外貨はうなるほどある。しかも円高だ。

しかしGDPはマクロ中のマクロだ。GDP至上主義と非難した憶えもあるが、その重要性を否定したわけではない。とにかく諸指標がことごとく悪化するなかで、辛うじてゼロ成長を維持していた日本経済の底が抜けていく感じがする。

すこし経済政策との関係で調べてみた。

一般的論調は以下のごとくである。

0.9%の落ち込みのうち外需の落ち込みが0.7%、内需が0.2%を占める。輸出はマイナス5%で、尖閣諸島問題はあったものの、減少に歯止めがかからない状態になっている。

今回の落ち込みは、これまで景気を支えてきた内需が低下に向かったことが特徴となっている。これはGDPの約6割を占める個人消費が1.8%減となったためである。

主要な原因。直接には、エコカー補助金終了に伴う自動車販売の減少が利いている。電気・ガスなどの光熱費を含む非耐久財も節電などの影響で減少した。

しかしそのベースには、景気の先行きが不透明となっていること、それにより消費者マインドが悪化していることがある。これを反映して企業の設備投資も3.2%減となっている。


ロイターの「識者はこう見る」によると、今回の数字を深刻に受け止める「識者」は意外に少ない。

「家計の所得環境が限界的に悪化し始めていること」を挙げる声があったくらいである。

一方で、楽観的な見通しを打ち出すエコノミストもいる。

1ドル80円台が定着すれば、輸出は安定基調に乗る。復興需要は続いており、赤字国債が承認されれば公共事業が増える。

ここまではまだ良いとして、「来年は消費税率引き上げ前の駆け込み需要も想定される」とまで書いているから、「識者」としての「良識」を疑ってしまう。<三井住友アセットマネジメント チーフエコノミスト 宅森昭吉氏>

中間的な受け止めの代表が以下の発言である。

対中関係が悪化していため、外需の悪さは予想の範囲内のことだが、問題は内需の方で、個人消費と設備投資が思った以上に悪かった。とくに個人消費の落ち込みが激しい。

今後、当面は外需がリバウンドがあり、ゼロ近くまで回復すると予想されるが、個人消費がどこまで回復するのか注目している。それ次第だ。設備投資は構造的に減少しており期待はできない。<トヨタアセットマネジメント 投資戦略部 チーフストラテジスト 濱崎優氏>

総じて「識者」は企業の業績を基本指標にしながら、日銀・為替の動きを織りこんで先行きを判断しようとする傾向がある。これは1997年のときと同じ手法である。これでは時代の潮目は読めない。「エコノミスト」と称する人々にはそういう反省がないようだ。しょせん「株屋」だ。


ということで、この数字が出てくれば「ホンマに消費税やるんかいな」ということになる。

藤村修官房長官は「我が国の景気が弱めの動きだったことを確認する内容になった」との認識を示した。この認識から消費税増税は出てこないはずだが、「予定通りに引き上げられるように経済環境を整えていくことが重要だ」と述べるに留まった。

翌日の予算委員会で野田首相は「危機感を持って対応していきたい」と答弁し、11月中にさらなる経済対策を取りまとめるとした。消費税については言及しなかった。