不思議なことに、赤旗ではほとんど触れられていないが、11月3日から日米合同軍事演習“Keen sword(鋭敏な剣)がスタートした。

軍事演習だから当たり前かもしれないが、それにしても「鋭敏な剣」とは挑発的である。

この演習で驚くのは、その規模である。

日本側からは3万7000人の自衛隊員が参加し、米側からは1万人が参加している。演習海域には空母まで出動している。これだけの規模の軍事演習は昨今行なわれていないという。

これだけの規模を持って対抗すべき仮想敵国は、誰が見ても中国である。

中国をぴりぴりさせているのは、その規模だけではなく演習の内容にある。

「ロシアの声」はこう解説している。

当初、軍事演習のシナリオは仮想の敵に襲われた無人島の解放作戦を練ることを想定したものだった。ところがこれが煽動して、懸案の島へ中国が、たとえばパラシュート部隊を降下させるなどの決定的行動をとりかねないことを危惧した日米は、この項目を演習計画からはずした。

まさに瀬戸際の挑発である。

このところ、米日支配層はオスプレーを地元の一致した反対を押し切って普天間配置したりするなど、強硬姿勢が目立っている。あいつぐ米兵暴行事件も、兵士のぴりぴりした緊張感の現われなのかもしれない。

ぴりぴりしているのは中国も同様である。

「ロシアの声」は、「中国青年报」に掲載された記事に注目している。

「沖縄以南の諸島の解放作戦」が演習項目からはずされたのは、中国が軍事行為に出る姿勢を示したからである。

つまり、「無人島解放作戦」が外されたのは、米日軍当局の「熟慮」の結果ではなく、何らかの軍事行動のシグナルを中国側が発したためと推測される。

私は良く知らないが、中国共産党の機関紙「人民日報」と違い、一般新聞にはそれぞれ強みがあって、なかには軍関係の情報が強く反映されるものもあるのであろう。

いずれにせよ、我々の知らない背後できわめて危険な動きが進行していることを忘れてはならないだろう。


すみません。知りませんでした。Keen Sward は1986年以来、毎年続けられている日米合同演習でした。

「演習は米統合参謀本部議長が発起する、米軍においても位置づけの高い演習」だそうです。


今回の演習については、さすが産経がしっかりフォローしています。しっかりフォローしていますが、中身はとんでもない。

10月21日の記事では「米政府もビビる奪還訓練」と題され、米政府からの外圧で訓練が変更になったとしている。

防衛省にとって想定外だったのは米政府からの外圧で、ある情報が伝わってきた。「国務省は訓練自体を中止にしろと主張している」

訓練による刺激を嫌う国務省のスタンスは容易に想像できるが、「訓練中止」まで求めてきたことに防衛省内では衝撃が走った。

それが、11月3日の記事ではまったく様相が異なる。

岡田氏、中国に配慮「決定は駄目だ」というのが主見出しで、脇見出しには「首相も追認、米は強い不快感」となる。

産経の愛読者もあっけに取られただろう。どちらかが正しければ、もう一方はウソというくらいにおかしい。

それでどちらがウソっぽいかといえば、後の記事である。そんなこと副首相の一存で決められますか。かりそめにも「米統合参謀本部議長が発起」する作戦ですよ。田舎大学の許認可じゃあるまいし…。

読売のiPS治療は騙されたんだが、こちらは騙そうと思って書いている。その分たちが悪い。書いた記者は相当後味悪かっただろう。本来なら辞表を叩きつけるべきところだ。

ちなみに「無人島解放作戦」中止の第一報はニューヨークタイムズである。