忘れないうちに書いておきたい。
佐藤さんの話で、ブラジルの政治状況について話があった。

まず特徴的なのは、ジルマ・ルセウ大統領の人気が抜群、ということだ。
いまやルーラをしのぐ支持率で、このまま行けば再選間違いなしという。
その理由を佐藤さんはこう説明している。
ルーラの支持層はそのままルセウの支持層となっている。それに加えて中間層の支持も集中している。メディアもルセウを持ち上げている。
メディアがルセウを持ち上げる理由は二つある。一つはインテリのルセウを持ち上げることで、ルーラとの離間を図ること。もう一つは、それによりルセウを再選に持ち込み、ルーラの再登場を阻止することである。
しかしこの戦術は、結果として労働党(PT)の著しい躍進をもたらしている。各自治体でも労働党の進出が目立っている。

もうひとつの特徴は、新中間層の出現だ。彼らは貧困層から抜け出したばかりで購買意欲はきわめて旺盛だ。彼らが景気を底支えしているから、リーマンショックの影響も軽くてすんだ。
新中間層は組織への帰属意識が希薄で、政治にも無関心だ。ただ彼らを持ち上げてくれたルーラへの恩義は強く感じている。つまり正義というのはもはや社会を動かす主要な動機ではなく、現世の利益が政治の駆動力となりつつある。

もうじきオリンピックがあるが、そういう意味では東京オリンピックの前の日本に似ているのかもしれない。

私の感想を付け足しておくと、国内の庶民の小状況を見れば確かにそうも言えるが、国際的な意味づけは相当異なっていると思う。
①ブラジルの現在は失われた十年と絶望の十年を経たうえでの現在であり、それらをもたらしたものとの対決を経て達成した成果であること。
②現在の方向は世界の進歩の方向と一致した発展であり、21世紀型の発展であること。
私は、このような世界的視野と歴史的観点を抜きにした近視眼的評価は、政治を見誤ることになると思う。
フィデルもそう見ている。
注意してみていかなければならないのは、アメリカとの関係である。ここが“ゆるふん”になると、一気に持っていかれる危険性がある。これはメキシコ革命の歴史を見れば分かるように、決定的なポイントである。
逆に、ラテンアメリカ諸国の団結強化の立場に立つ限り、ブラジルは心配ないと思う。
「独立ほど尊いものはない」というホーチミンの言葉を我々は今一度噛み締めるべきであろう。