率直にいえば、サイエンスというよりテクノロジーの世界だ。
ヒントはクローン羊ドリーにすでにふくまれている。体細胞である乳腺細胞プラス卵細胞の何か液性の因子で細胞が先祖帰りすることは分かった。
その何か液性のインデューサー因子を見つければ、何とかなりそうな予感はする。
そのための遺伝子データベースはすでに用意されている。遺伝子工学の基礎知識さえあれば、後はしらみつぶしにするだけだ。
それが日本人の手に転がり込んできたのは、「24マイナス1」の着想が一つだ。(最初は10種絞り込み段階で発表しようとしたらしい)
さらに最初の推進者がアメリカではなくイギリス人だったということ、連中が少々息切れしていたことがひとつ。
もう一つはアメリカがES細胞にのめりこんで、そこで倫理の壁、異種反応の壁にぶち当たってしまったこと、そして何より大きいのは、ブッシュになって研究予算がばっさりと削られことだろう。
2002年から06年にかけて、いわば時間的・空間的に研究にぽかっと大穴が開いた瞬間があった。そのエアポケットに、山中氏らの研究がすっぽりはまった、というのが成功の理由ではないだろうか。
オリンピックで1位と2位がドーピングで失格になって金メダルが転がり込んだような感がないでもない。
むしろ山中氏の大きな功績は、知財権をがんばって獲得し、それを世界に公開したことだろう。これこそノーベル賞に値する。爪のアカを煎じて米倉や長谷川の口に押し込んでやったらよい。