日経ビジネス・デジタル版の10月15日号が大変話題になっている。
一つは当然のことながらその内容であるが、もう一つはただちに削除されたことだ。
しかも、何たる技術の進歩! それがグーグルのキャッシュ版で全部読めるということだ。
これがそのページ
http://webcache.googleusercontent.com/search?q=cache:http://business.nikkeibp.co.jp/article/NBD/20121012/237978/?ST=pc&hl=ja

編集者がそこまで読んで掲載したのなら、相当の策士である。

まぁ、読んでもらえばいい話だし、私がコメントしてもしょうがないのだが、感想を一つ二つ。

記事は ニューヨーク・タイムズ東京支局長のマーティン・ファクラー氏へのインタビューで、聞き手は大野和基さんというジャーナリスト。

…これは記者クラブだけの問題ではありません。もっと大きな問題です。日本の大メディアは、エリート階級の中に入っているということです。東大、慶応、早稲田出身で、同じバックグラウンドと価値観を持っている。みんな官僚に同情的で、彼らの側に立ってしまうのです。

3.11の時、この面をはっきり見たと思います。本当に監視役になっていたのなら、「フクシマは大丈夫だ」「メルトダウンはない」という記事は書かなかったのではないでしょうか。

大メディアは、政府と対峙することなく、国民に対峙する報道をした。私はこの点を痛烈に批判しました。…メディアを監視役ではなく、システムの一部としてみるなら、起こるべくして起こったことだと言えるでしょう。

…オリンパス事件のときに、フィナンシャル・タイムズがスクープし、ニューヨーク・タイムズとウォールストリート・ジャーナルがそれに続きました。その間、日本経済新聞は何も報道しませんでした。沈黙です。
まったくクレージーです。ビジネス・ジャーナリズムとして、3.11報道と同じくらいの大きな失敗でした。チャレンジする精神がまったくありませんでした。

…今、我々は非常に興味深い時期にいます。…国民と大メディアの間に溝が生じ始めたのです。…3.11が変化の始まりでした。これほど強い不信感をみたのは初めてです。

これだけの記事を載せた編集部の勇気と、ただちにボツにした本社との乖離は、何がしかの感慨を抱かせる。
とにかく支配体制にほころびが出始めているのは間違いない。それをもたらした地下のマグマが、噴出間近になっていることが予感される。