「日本の原発・再処理・もんじゅ・MOX原発はすべて、プルトニウム原爆を作るための施設体系だ」という昨日のパネラーの発言を疑うわけではないが、より確からしい証言がほしい。

ということで、すこしネットをあたってみた。

まずは「核情報」というサイト。

http://kakujoho.net/npp/kang2s.html#d1

原発のプルトニウムで核兵器は出来ない?出来る?

という特集を組んで、双方の意見をまとめている。

最初はできないという主張。

これは文部科学省の原子力教育情報提供サイト「あとみん」というところで、ここでは「原子力発電所で生まれたプルトニウムは原子爆弾に利用されることはありません」と述べられている。

要旨は以下のとおり。

兵器級のプルトニウムの場合、プルトニウム239の含有量が93%以上だが、日本の原子力発電から出てくる原子炉級プルトニウムでは60%程度だから、核兵器への転用はできない。

なぜかというと、

プルトニウム239以外に、勝手に「自発核分裂」を起こして中性子を出すものが増えたり、ガンマ線や発熱の量が大きくなったりする。

「自発核分裂」で生じる中性子のために核分裂反応が早期に始まってしまい純度が下がる。

というのが理由。

もう一つは同じ「あとみん」の解説書「プルトニウムってなんだろう」の一節。

原子力発電所で生まれたプルトニウムは原子爆弾に利用されることはありません。

核兵器用と原子炉で生まれたプルトニウムには同位体の組成に違いがあります。原子力発電所で生まれたプルトニウムは原子爆弾に利用されることはありません。

テロリストが発電用原子炉でできたプルトニウムを核兵器に転用しようとしても不可能に近く、強い放射線により命を奪われる可能性の方が高い。

これが本当なら、我々としてはまったく心配する必要はないことになる。しかしそれがウソだというのは連中が自ら証明している。現職の防衛大臣も読売新聞の社説も原発が停止されたら核兵器生産能力が失われるので絶対にやめてはいけないと力説しているではないか。

これらの主張が正しいとすれば、連中はこれまで平気でウソをついていたことになる。どっちにしても浮かばれないが、これについてはぜひ国会で黒白はっきりさせてほしい。


次に、できるという主張

日本原子力学会の英文誌2000年8月号に発表した論文で、共著者の顔ぶれがすごい。鈴木篤之(現日本原子力研究開発機構理事長)と鈴木達治郎(現原子力委員会委員長代理)である。

要旨は以下のとおり

兵器級プルトニウムと比較した場合、原子炉級プルトニウムの方が重いプルトニウム同位体の含有率が高いことは、若干は核拡散抵抗性を高めるが、決定的ではない。

プルトニウムの同位体組成の劣化は核兵器の設計や製造を複雑化する。しかし、基本的にいかなる組成のプルトニウムも核兵器の製造に使うことが出来る。

粗野なつくりの原爆でも、TNT火薬にして数百トンの最低限出力が得られる。現在の兵器設計を使って圧縮時間を短縮すると、原子炉級プルトニウムも、兵器級プルトニウムに匹敵する爆発出力を持つことができる。

この論文がすでに2000年に発表されているのに、文科省はシラをきっていたということになるのだろうか。


なお、TNT火薬にして数百トン という数字はロスアラモス国立研究所の理論部の部長カーソン・マークの研究によるもので、この数字自体は常識となっていたようだ。

このサイトの著者は皮肉たっぷりにこう書いている。

元動燃理事の栗原弘善氏は、「原子炉級プルトニウムを使って核爆発装置を作ろうとすれば、それは、核の花火にしかならない。つまり、まぶしい光と大きな音を出すが、核爆弾の大きな壊滅的な効果をもたらしはしない」と表現した。

TNT火薬にして500トンの爆発を「まぶしい光と大きな音を出す」花火と呼ぶのは豪快である。


ただ、故栗原氏の名誉のために付言しておけば、この発言は92年のものであり、日本側の一般的理解であった可能性もある。

「冷戦後の軍備管理・核拡散防止に関する日米研究グループ」が95年に組織され、栗原弘善、鈴木篤之氏も参加している。

この報告書では

技術的問題として、幾分かの追加的労力があれば、いかなる種類のプルトニウムを使っても、よく知られた技術を使って核兵器を作ることができるとの合意に達した。

とされている。ただ日本側(今井隆吉氏)はこの合意にかなり抵抗した様子が伺える。

原子炉級プルトニウム問題が「良識のある結論に達していない」との今井氏の主張に対し、ガーウィン氏は、「あなたが個人的にそのような主張をすることによって混乱を引き起こしている」と述べた。…日本語版『プルトニウム』誌(98年夏)

原水禁国民会議のサイトより