9月金融緩和で世界はどうなったのか。
答えは、「なにも変わらない」ということだ。うんともすんとも言わない。
「変わらない」ということは「悪くなっている」ということだ。
瀕死の患者にカンフル剤を注射し、蘇生を図ってきたが、カンフル剤がだんだん効かなくなってきているということだ。
バーナンキも言っている。もうカンフル剤でしのぐのは不可能だ。後は政府の責任だ。
バーナンキがとりわけ念頭においているのは失業率の数字だ。失業率が改善しなければ景気は回復しない。
バーナンキはもともと金融緩和論者だ。食いたくなくても口から溢れるほどに金を突っ込めば、やがて吐き出すだろうと考えていた。それが間違いだと気づいて頭を抱えているのだろう。
金食い虫は国家に寄生して金をむさぼり続ける。彼らの食欲は一向に治まる気配にない。やがて宿主の腹を食い破るだろう。そうなれば共倒れしかないが、それを承知でむさぼり続けるのが、金食い虫の「業」である。

赤旗「経済四季報」から少し数字を挙げておく。
9月6日 欧州中銀(ECB)がユーロ圏諸国の国債の無制限購入を決定。ドラギ総裁は「ユーロ防衛に必要なことをすべてやる」と宣言。
9月13日 連銀(FRB)がQE3を決定。毎月400億ドル(3兆円)の住宅ローン担保証券(MBS)を購入することとなる。
9月19日 日銀が追加金融緩和を決定。あらたに80兆円が資産買取りに回される。
9月末 欧州安定機構(ESM)がドイツで批准される。10月に発足予定。
ということで、今度は中銀が不良資産にあえぐ番になった。
11年末時点で、世界の中銀の保有資産は18兆ドル(1400兆円)。4年間で倍になっている。これは世界のGDP合計の3割に相当する。
中銀がこけたら世界がこける、BISが言わなくても、そんなことは誰でも分かる。わからないのは経団連の欲ボケじじいどもだけだ。