III. 東アジアのなかでの地体構造上の位置づけ

1980 年代には,近隣国でも地質情報の詳細化が進んだ。最も重要だったのは,中国主要部と朝鮮半島の解明であった。またフィリピンやロシア沿海州など造山帯の延長方向にあたる部分との対応関係が明らかになった。

日本列島の地体構造を論じる際には,東アジアの地体構造の枠組みのなかで,その位置づけを確認しておく必要がある。

留意すべき点がふたつある。①日本列島の起源が北中国(中朝)地塊縁か南中国(揚子)地塊縁か,②東アジアの造山帯との関連、である。

まず東アジアと日本列島との地質学関連に関する最近の知識を整理する。

 1) 南北中国間の大陸衝突帯の東延長と古生代日本の帰属

 日本がプレート収束型造山帯として形成されはじめたのは古生代初頭である。その誕生期に最も縁の深かったのは南中国であった。それは三つの理由から説明される。

(1)現在の東シナ海を介した九州と南中国の地殻の連続性,

九州から南西諸島にかけての先新生界基盤はそのまま東シナ海底,そして南中国東縁の大陸地殻に連続するとみなされる。そしてそれに連続する東北日本も南中国地塊に近縁と判断するのが最も自然である。

(2)南北中国の地塊が衝突したとき発生した造山帯の東方延長

南中国が北中国の下に沈み込んで衝突型変成帯が形成された。これは中国本土の秦嶺から山東半島へと連続し,黄海を渡って朝鮮半島では臨津江帯に追跡 される。その東方延長が飛騨山地と北関東の日立地域に存在する。飛騨片麻岩中の砕屑性ジルコンは,現在の北中国地塊の基盤岩の年代とよく一致する。

(3)古生物地理学の所見

古生代化石群集の特徴は南中国との強い関連を示す。

以上のことから,日本列島の主部は基本的に南中国地塊の縁辺で形成・成長したと考えるのが妥当である。

 2) 東アジアの大陸の原型

トリアス紀前半には南中国地塊が南方のインドシナ地塊と衝突・合体した。続いてトリアス紀中頃以降に北中国地塊や北方のモンゴル+ブレヤ地塊の一部が衝突・合体した。

こうして東アジアの大陸の原型がほぼ完成した。その東アジア大陸の外縁を覆うように,付加体などからなる単元が順次形成された。