日本列島の地体構造区分再訪

磯﨑行雄ほか

http://ea.c.u-tokyo.ac.jp/earth/Members/Isozaki_JG/10Isozaki.pdf

という論文が、包括的で勉強になる。以下はその摘要。

I.はじめに

 日本列島は世界地図のなかでみると極東にあるほんの小さな島国だが,そこには大陸縁辺に発達する造山帯を特徴づける地質学的・地球物理学的特徴が多く観察され,世界で最も詳しく解析されている島弧と呼んでも過言ではないだろう。

日本列島の表層地殻は,おもに強く変形した堆積岩類や変成岩類,そしてそれらに貫入した花崗岩類から構成される。これらの強い変形作用は、日本列島が長期間存続した造山帯の一部であったことを示している。

 造山帯の大構造を理解する際には,地体構造単元の識別およびそれらの間の境界の認定がすべての議論の出発点となる。日本列島の場合,列島にそって帯状配列する複数の「帯」に区分される。

20 世紀後半ではプレートテクトニクス的地質観のもとで,分類や定義が大きく改訂された。しかしその後も一部の潜在的な問題が未可決のままもち越されて現在に至っている。

 21 世紀最初の10 年が経過し,「砕屑性ジルコン年代」測定など、次世代を切開く新しい研究手法が導入され,いま再び新しい変革の時期が訪れた。日本列島を構成する各種地体構造単元や隣接単元間境界の再定義が不可欠となった。

本稿では,地体構造区分に関して,現状の混乱を改めるには具体的にどのように対処すべきかを論じ,再定義を試みる。