北海道の景観は、たとえば狩勝峠から十勝の大平原を見下ろしたときとか、根釧の果てしなき牧草地帯とか、内地の細やかさとは異なるおおらかな印象である。
しかし地図を見ていると、どうもそう単純ではないという思いがしてくる。

日本地図を見ていると、変だなと思うのは、本州から北上してくる陸地の線が積丹半島で終わってしまっていることだ。樺太から南下してくる隆起もえりも岬で海中に没してしまう。大雪から東に伸びる山並みも知床半島で海中に没し、千島列島のアーチとは微妙にずれる。逆に国後まで南下した隆起は根釧平野のどこにも名残を感じさせない。そしてその南方には釧路から海岸線沿いに歯舞・色丹まで伸びる低い隆起がある。

つまり北海道は大きく言えば、本州系、樺太系、千島系の三つの地質学的構造の交差点になっているということなのだろう。北海道の地形は本州、特に西日本に比べたらずいぶん単純だと思っていたが、地質学的にははるかに複雑なようだ。

ウィキペディアで調べると、本州まではユーラシアプレートの上に乗っかっているが、北海道は北アメリカプレートという別の棚の上に乗っているようだ。

もう少し勉強してみよう。

九州も小さな割に複雑な地形だ。というより、メリハリのない島だ。
鳥瞰してみると、背振山地から五島列島につらなる隆起と、佐賀の関から甑島につながる隆起と、大隅半島からトカラ列島につながる隆起の三本が見て取れる。
しかしいずれも薄ぼんやりとしたもので、たんなる眼の錯覚かといわれれば、そうも思われる。
一応脊梁を成すと思われる熊本・宮崎県境の山地も日田から国分で終わってしまう。むしろ雲仙・阿蘇・霧島の三大火山が地形を規定している。九州島の短い足となる薩摩・大隅半島も、そうなるべき必然性が見えてこない。
北海道が千島のアークと日本列島のアークのヒンジであるのと同様に、九州は沖縄からつながる南西諸島と日本列島のヒンジであるはずなのだが、それを象徴するような地形的特徴が見て取れないのである。