以下は去年11月13日の記事の再掲である。


赤旗の連載「9.11から十年 世界はどう変わったか」では、09年7月の在外使節会議(大使会議)での胡主席の演説が、この転換を規定していると見ている。
演説内容は詳しくは述べられてはいないが、湖錦湯は「外交を前向きに、主導的に行う」と述べ、国際秩序構築に積極的な姿勢を示したという。

これに対し、1年半後の10年12月、戴秉国国務委員が論文「平和発展の道」を発表。この中で「中国が米国に取って代わって世界に覇を唱えるというのは神話である」と述べた。これは湖錦湯の強硬路線を批判したものとされる。

こういう中国党・政府の二つの傾向を伏線に南沙問題を見ると、かなり見えなかった部分が見えてくる。それは戴秉国に代表される「正統派」が、湖錦湯の押さえに回っている流れである。

尖閣問題で最終的に落しどころを決めたのも戴秉国であった。南沙問題でベトナムと交渉し和解の方向を打ち出したのも戴秉国だった。

次は今年5月の人民網日本語版

戴秉国国務委員は、中国人民対 外友好協会・第10回全国理事会会議で以下のごとく述べた。

21世紀の今、過去と比べて 多大な変化が生じている。各国が相互依存し、利益の交流がより深まり、広範になる地球村の時代だ。中国もますます世界から切り離せなくなっている。覇権の道を歩むことはなおさらにできない。

われわれは引き続き平和的発展の道を揺るがず歩み、世界各国と政治面の相互尊重、経済面の相互利益、文化面の相互交 流・参考を真に実現していく。

わが国は巨大なうえ、急速な発展過程にある。他国を恐れさせてはならない。謙虚さと慎重さが特に重要だ。発展し、強大になるほど、謙虚でなければならない。

われわれには成し遂げた成果に誇りを抱くだけの理由があるが、傲慢であってはならない。小国・貧困国に対しても、大国・富裕国に対しても傲慢であってはならない。中国は常に自らの落差に目を向け、他国の長所や経験を研究し、学習し、批評し、参考にするよう心がけ、それによって自らを完全なものにすると同時に、世界の平和と発展にで きる限り貢献しなければならない



今回はこの戴秉国カードが出てこない。外務副大臣が親書を手渡したようだが、音沙汰はない。中国共産党内部に何らかの力関係の変化があったことがうかがわれる。