中国の反日デモが空前の激しさとなっている。
問題は中国政府が明らかに煽っていることだ。
そしてもう一つは、これを抑えようとする力が働いていないことだ。前回の漁船侵犯事件と比べれば、明らかに抑止力は働いていない。
おそらくは共産党内の抑止力が失われたのだろう。
非常に危険な事態だと思う。
党大会を控えて、習近平とその一派を抑え込もうとする力が働いていると思う。

日本側の問題でいえば、中国大使館や外務省の中国派の情報が伝わっていないことが最大の問題だ。その中国通たちも、湖錦湯を改革派と持ち上げ、習近平を二世集団の守旧派とあざけってきた。
その挙句が、中国のぎりぎりのメッセージを無視するという外交的失敗だ。
APECでの15分の立ち話で、湖錦湯は野田首相に直接、国有化を思いとどまるよう訴えたという。
その話の重要性が官邸筋には通じていなかった。だからその2日後に国有化を宣言してしまう。
これは外交史上に残るような失態である。

先ほど経団連と日商の会長が記者会見していた。内容はほとんど無意味だ。
政府は外交努力せよというが、どう外交努力せよというのか、さっぱり分からない。
日米同盟を攻撃的に強化し、TPPで中国包囲網を形成せよと呼号しながら、どう外交努力せよというのか。

自民党の党首選の街頭演説は、ほとんど戦争を煽る台詞ばかりだ。本人たちは国内向けと思っているのかもしれないが、全部それは中国に放送されている。この連中が中国の民衆の素朴な怒りに油を注いできたし、いまだにそれを繰り返そうとしている。
こういう微妙な問題を政争の具に利用してはならない。断固としてならない。

原則は三つだ。
①毅然として対処すること。過ちは過ちとしてはっきりと指摘すること。
②平和的に解決すること。この問題は長期戦になる。武力で解決するには無理がある。それを承知で対処するべきだ。
③相手の言い分に耳を傾けること。何が対立点かも分からずに、売り言葉に買い言葉でけんかをやるのは愚の骨頂である。耳を傾けた上で、認むべきは認める。これで相手も冷静になる。