多分、山崎は知ってか知らずか虎の尾を踏んでしまったのだが、軍事関係となるとアメリカは容赦ない。

しかし、それが経団連がアメリカのメガフォンとなることのあいだに、必然的な結びつきはない。経団連はアメリカの「影の力」が怖くて付き従っているのではなく、もっと自発的にアメリカの「産軍複合体」の支えに回っている。

アメリカ国内でもウォール街を中心とするビジネス界と、産軍複合体は一体ではない。ここが一つのミソではないだろうか。

日米経済摩擦は80年代以降、両国関係の基調低音となっている。産軍複合体に従属することで、ビジネス界の排日攻撃をやり過ごすのが、経団連の戦略ではないだろうか。

だから、産軍複合体の政治代表である共和党とはうまくいくが、ビジネス界の意向を反映する民主党政権の時代はギクシャクするという経過を繰り返してきた。
そのときこそ余計に対米従属の表面的ポーズを強める傾向がある…
とすれば、オバマ政権下でのTPPへの異常なばかりの忠誠も、ある程度理解可能になる。


オバマ政権が富裕税とボルカー・ルールを持ち出して以来、ビジネス界と民主党のあいだには隙間風が吹いている。まさかこのまま民主党が“階級政党”に変身するとは思えないが、富裕層が共和党のサイドになだれ込む可能性はある。
その際に、共和党と産軍複合体は、よりビジネスプロパーの政策を打ち出してくる可能性はある。その際に、経団連にとって従属のメリットは失われる。
その際に、経団連はこれまでのやり方を続けることができるのだろうか。