共和党大会というのがどういうものか、日本にいるとなかなか雰囲気が伝わってこない。幸いなことに、デモクラシー・ナウの日本語版が、(見出しだけだが)様子を伝えてくれる。
この1週間の見出しから、共和党大会関係のものを書き出してみた。
2012/8/27(月)
共和党全国大会からのけ者に リバタリアンのロン・ポール議員、共和党全国大会での存在感と党の長期的な方向性への影響力確保をめざす
共和党全国大会の周辺でデモ開催へ 熱帯低気圧「アイザック」と厳重警備の中
「本当のロムニー」: 共和党の右傾化を受け入れるミット・ロムニーについて
労組に非難され共和党で人気、組合つぶしのウィスコンシン州知事スコット・ウォーカーにタンパで抗議
ニュート・ギングリッチ元下院議長、エイキンの「本当のレイプ」発言にコメント拒否
共和党有力者ら、宗教票獲得ねらい原理主義者の世界観を称える
* ロン・ポールは変わり者の議員で、徹底した自由主義と不干渉(リバタリアニズム)を説く。イラク戦争にも反対した。
*エイキン議員は「本当のレイプなら女性の体に防御機能が働き妊娠しない」と発言し、大問題になった。
*大会を機に、一気に共和党が右傾化・人種差別化・狂信化していることが分かる。
2012/8/28(火)
パーティータイム: 企業とロビイストが資金援助したイベントであふれるかえる共和党全国大会
投票時ID提示法で懸念される選挙権喪失とティーパーティーによる「投票監視人」で高まる圧力。
マルコ・ルビオの台頭: ティーパーティー期待のラティーノの星
熱帯低気圧「アイザック」ニューオリンズ接近 「カトリーナ」から7年、再建された堤防に与えられた最大の試練
投票抑圧とロムニー候補へのアフリカ系アメリカ人の支持ゼロについて
台風で延期された共和党大会1日目 タンパの雨風にも負けず共和党の公約に抗議した数百人
ベインキャピタル社の工場作業員 共和党全国大会に対し、アウトソーシングによる失業回避闘争を展開
*投票時ID提示法は共和党が各州議会で推進する法律。非白人系の投票参加を妨げる目的。実際は、このような不正投票の件数は極めて少数である。
*一般に非白人系は民主党の地盤となっている。マイノリティーの増加により、すでにコロラド州、ネバダ州、およびアリゾナ州が拮抗州に代わった。
2012/8/29(水)
共和党全国大会 ティーパーティのテッド・クルーズが演説。 カール・ローブが仕組んだ「We Built It」スキームを誇示
ロムニー夫妻 共和党極右へアピールするため 中絶や社会問題に関する過去の「穏健」業績には触れず
大統領候補ロッキー・アンダーソン:米国の第3党からの候補者への妨害で手を組む民主党と共和党
大会会議場に視線が集まる中 共和党の重要な決定は密室で裕福な資金提供者たちが決める
ハリケーン「アイザック」ルイジアナに上陸 ニューオリンズで大洪水の恐れ
共和党全国大会場内での混乱 座席規則を変更してまでロン・ポール代表団を妨害
共和党トップへ駆け上がったポール・ライアン議員 「金と迎合」で対キューバ通商禁止令反対を翻す
*ロッキー・アンダーソンは元ソルトレイクシティ市長。イラク反戦運動の支持、持続可能な環境・経済を訴えるなど、進歩的な市長として知られてきた。半年前に正義党を結成し、大統領選出馬を表明している。
*共和党は大企業と大金持ちが牛耳る政党であることも明らかになった。活動家の多くは金儲けの機会を狙うオポチュニストでもある。
2012/8/30(木)
共和党を支援する億万長者の娘 党全国大会でデモクラシー・ナウ!のスタッフのカメラ奪取
マット・タイビ 「ミット・ロムニーの蓄財の秘密は強欲、借金、責任転嫁」
リンカーンに扮したミズーリ州共和党代表:「暴力的なレイプ」と「酩酊した女性のレイプ」
ニューヨーク選出下院議員ピーター・キング「中絶手術を行う医師らは犯罪者」
共和党副大統領指名候補のポール・ライアン、親しみやすさ演出 自己の経歴や故郷の町については嘘
ウィスコンシン州知事、妊娠中絶問題の重要性を否定。会場周辺で数百人が性と生殖に関する権利を求めてデモ
ロサンゼルス市長のアントニオ・ビラライゴサと共和党ラティーノ・リーダーのマリオ・ロぺスが語る 2012選挙戦における移民法改革問題
*たしかにデモクラシー・ナウ!の取材は相当しつこい。
*経歴詐称はネガティブ・キャンペーンの最大の武器。オバマもコロンビア大学卒業の学歴を疑われている。
*キリスト教原理派にみんなが媚を売っている。
*アントニオ・ビラライゴサはマイノリティーの代表として、民主党からロス市長に当選した。マリオ・ロペスとは正反対の政策を実行している。
2012/8/31(金)
共和党全国大会 ロムニーが大統領選候補指名受諾演説。記録的な軍資金をバックに勝利を狙う。
共和党の筆頭軍師カール・ローブ 『ローブ親分』の著者クレイグ・アンガーの質問に冷静さを失う
クリント・イーストウッド 空席の「透明人間オバマ」を相手にとりとめのない一人芝居披露
「民主主義はビジネスじゃない」 コードピンクがロムニー演説の最中に届けた進歩的な声
共和党の最大の資金提供者デイビッド・コークに直撃:富の集中は民主主義を損なわないか?
ロムニーと大物寄付者 握手の瞬間:大統領候補と億万長者の興味深い瞬間を大手テレビ局は放送せず
フロリダ州の正当防衛法の大物支持者ビル・バンティングに トレイボン・マーティン殺害について質問
共和党全国大会参加者がCNN女性カメラマンへ嫌がらせ
テキサス州投票者ID提示法 を連邦裁判所が差し止め
*カール・ローブはブッシュ政権の高官時代に「影の大統領」、「カール国王」などと呼ばれていた。
*コードピンクはイラク侵攻に反対して結成されたおばさんグループ。ピンクの服を着てアピール活動を行なっている。抗議の歌がハモッていたり、賛美歌ぽかったりするのが評判らしい(労働相談・労働組合日記というブログより拝借)
*コーク兄弟は年収215億ドルの富豪。フォーブス番付では5位と6位を占める。ティーパーティー運動と他の何ダースもの右翼運動に資金を提供している。たこ足にひっかけてコクトパス(コークとオクトパス)と呼ばれる。(見つけた 犬としあわせより)
* トレイボン・マーティン殺害事件は今年2月にフロリダで起きた事件。黒人少年(17歳)が徒歩で帰宅途中、自警団のジョージ・ジマーマンに射殺された。オバマは「自分に息子がいたらトレイボンと似ていただろう」と哀悼の意を表した。当局は、正当防衛を主張するジマーマンを釈放した。
ということで、黒人女性侮辱は起こるべくして起きたということがわかる。
へんな言い方だが、これだけ偏った政党が、いまだに大統領選をたたかう大衆的基盤を保持しているということは、まさに白人政党に徹しているからではないか。キリスト教原理主義も、医療保険制度反対も、根っこはそこにあるのではないか。
共和党を支持する国民は、結局のところ、それが人種主義政党であるがゆえに共和党を支持しているのではないか。
そんな気もする今日この頃である。
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