ウォールストリートジャーナルがソニー、パナソニック、シャープの凋落を取り上げている。
日本のメディアに比べればはるかに、本質を衝いてはいる。しかし肝心な点が抜けていると思う。

ひとつは、若者と若者文化の衰弱だ。今の若者はないない尽くしだ。金がない、職がない、未来がない。これだけ揃えば若者文化が育つはずはない。
新技術が開発されれば、若者は飛びつくものだ。そうすれば技術は大衆化されるし、こなれる。いまはこなれる場所がなくなっている。その場所を奪ったのは皮肉にも電子産業なのだ。非正規が当たり前になり、若者から貪欲さが奪われた。だから市場からの敏感なリスポンスがなくなってしまった。
「一番でなくてはいけないんですか?」というのは中年のせりふであって、若者のせりふではない。若者の欲望はただの欲求ではなく渇望なのである。

もう一つは産業リーダーの気迫の喪失だ。日本の発展を引っ張ってきたのは通産官僚とイノヴェイティブな企業だった。これらが成長路線を捨て利益市場主義になったのが、ビッグバンから小泉改革にかけての数年間だった。経団連が政治に容喙するようになり、それを背後で経産省が支えた。

むかし飛行機が羽田の滑走路で墜落した。機長が狂っていた。着陸前にエンジンを逆噴射した。「機長、何をするんですか!」と副操縦士が叫んだ。いままさにその叫びが上げられなくてはならない。
「米倉会長、何をするんですか!」