以下の論文の executive summary を訳出したもの。たくさんの図表が付いた長い報告なので、興味ある方は原文をご覧ください。なお、この組織はとくに親チャベス的なものではないようです。

The Chávez Administration at 10 Years: The Economy and Social Indicators

February 2009

Center for Economic and Policy Research

 http://www.cepr.org/default_static.htm

CEPR is the leading European research network in economics, and brings together 700 economists who produce applied theory and empirical work on a wide range of economic policy issues.

論点 executive summary

現在の経済の拡大は、チャベス政権が2003年の第1四半期に国営石油会社の統制権を獲得したときに始まった 。それ以来、実質GDP(物価上昇補正後)はほぼ2倍となっている。すなわち5年余りで94.7パーセント、年間で13.5パーセント成長したことになる。

この経済成長の牽引車は非石油セクターだった。そして、民間部門は公共部門より速く成長した。

このような経済成長を通じて、貧困率は半分以下に低下した。2003年上半期の貧困家庭は54%だったが、08年下半期では26%に減少している。極貧層の減少はさらに著明である。それは72%の減少を示した。ただしこれらの貧困率は現金収入だけを評価するものであり、医療や教育へのアクセスの増加は計算に入れられていない。

この10年間で貧困家庭は39%減少した。極貧家庭は半分以下に減少した。

ジニ・インデックスを指標とする社会格差もかなりの低下を示した。03年の48.1%が、08年には41%に低下している。これは格差の著しい縮小を意味する。

一人当たりの実質社会消費(Real social spending)は1998年から2006年のあいだに3倍以上に増加している。



幼児死亡率は1998年から2006年のあいだに30%を大きく越えて減少している。公的機関におけるプライマリーケア医師の数は99年から07年のあいだに12倍に増えている。これまでアクセスがなかった何百万ものベネズエラ人が医療を受けることが可能となった。

教育の分野では相当な前進があった。とくに高等教育では総就学率は00年と08年では2倍以上になっている。

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労働市場も、この10年間で著明に改善した。失業率は11.3%から7.8%に低下した。現在も市場は拡大しつつあり、失業率は半分以下になっていると推定される。労働市場をあらわす他の指標でも相当の改善が示されている。

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この十年余りで、社会保障の受益者の数は2倍以上になっている。

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この十年余りで、政府の対外累積債務は顕著に低下している。GDP比でいうと30.7%から14.3%で半分以下となった。

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インフレ率は31.4%で、10年前の水準に復帰した。それはとくにこの半年間(四半期ベースの推移で)に顕著に抑制されている。これは世界的な通貨収縮の圧力によるものであり、さらにこの傾向は続くと思われる。


いろいろ細かいところを見ていけばきりがないが、まずは10年というスパンでマクロ諸指標をしっかり踏まえてから議論するべきではないかと思う。

ただこの報告はリーマンショックさなかの09年2月のリリースであり、その後の情勢の激変への対応は、別の話にはなる。

それにしても、これらのマクロ指標の成果を「ばら撒き」としか見ない"ベネズエラ共産党員"の目を疑わざるを得ない。