東大の長沢教授が赤旗に登場し、インタビューを行っている。テーマは「エジプト社会での軍の役割」というもの。
話の中身は大きく言って三つ、ひとつはエジプト軍の過去の栄光と堕落という流れの評価。二つ目はムバラク政権からの離反の事情、三つ目は、国民抑圧という本質は変わっていないということである。

エジプト軍のプレステッジ
王制を打倒し、英国から独立し、スエズ運河を国有化し、農地改革を行ったナセルとアラブ民族主義の軍である(あったというべきか)ということ。
第二次中東戦争で市民とともに英仏イスラエルの侵略と戦ったこと。
エジプト軍のスティグマ
権力基盤の確立のために政敵(最初は共産党、次いでイスラム指導者)を弾圧し、軍・警察の独裁国家を作ったこと
そのなかで軍が政治・官僚機構の要職を独占し、重要産業部門(家電から食品、電子機器まで)も自らの手に納め、経済も支配するにいたったこと。

2月革命の鍵となったムバラクとの離反
ムバラク一族は新自由主義経済路線を盾に、民営化路線を推進した。これは軍の既得権益の侵害をもたらした。
(私見としては、軍のもうひとつの権益の源はアメリカからの年間13億ドルの援助である。したがってアメリカが民主化支持といえば、それに従わざるを得ない)

軍の現在の路線
基本は既得権益の維持確保を目的とする。革命にはそのために有利と思える範囲では同調し、革命が既得権益を脅かすようになれば、それも押さえつけるというのが戦略である。
(私見としては、軍のもうひとつの目標はイスラエルと事を構えないことにある。ムスリム同胞団との取引は、そういうアメリカの圧力を受けたものだろう)

軍の二面性は、ナセル主義の二面性と並んでエジプト革命を読み解く鍵であることが分かる。
同時に、長沢教授がアメリカのアの字も触れていないことは、奇異の念を抱かせる。