なかなか本格的なコメントができないでいるのだが、とりあえず意思表明だけはしておきたい。
赤旗の「ベネズエラ特集」には異論がある。
ベネズエラは産油国で、ほかに基本的にはめぼしい産業はない。こういう国の経済運営は特殊なノウハウを必要とする。これが第一。
第二に経済マクロは悪いとはいえない。これについては11年9月22,23日の文章でも数字を挙げて説明している。第三に鉄鋼コンビナートの不況とか、スーパーの陳列棚にモノがないとかの問題は、別個に産業育成・流通インフラ整備の問題として考えなければならないということである。(率直に言えばボリーバル州の鉄鋼コンビナートは30年前のペレス失政の象徴だと思う)

ここから先は居酒屋談義になるが、とにかくあぶく銭が毎日転がり込んでくるわけだから、輸入圧力とインフレ圧力はすさまじいものになる。黙っていればたちまち汚職の巣窟となり、輸入規制は有名無実化する。とくに国内資本家は自国産業の育成という大義名分があるだけに、鼻息は荒くなる。
ただベネズエラは70年代のオイルブームの際に、そうやって金を使いまくって、後でひどい目にあった。その記憶は国民が共有している。だからとにかくあせらずに、身の丈にあわせてやっていこうというコンセンサスはあるだろうと思う。
もう一つ、記者は共産党系のソースに依拠しているようだが、その際はウラを取る必要がある。悪い党ではないが、書記長は古色蒼然たるスターリニストである。ベネズエラ共産党とベネズエラ統一社会党(PSUV) 合同するのか、別コースを歩むのか?
http://www10.plala.or.jp/shosuzki/edit/la/venezuela/pcv_psuv.htm を参照されたい)
いっぽう、ボリーバル州の製鉄工場を基盤とする活動家には組合主義者的傾向が結構ある。彼らはいまは党を離れ、反チャベス派の中核のひとつを形成している。

いずれにせよ、いつかはベネズエラの経済を世界の市場に乗せなければならないことは間違いないので、いつどういう形でという問題に集約されていくのだろうと思う。