昨日の鳥畑さんの寄稿の続き

BISは、各国中銀の非伝統的な金融緩和策は、リーマンショックによる金融システムの崩壊を防いだと評価している。
その上で、これが今なお継続していることに警鐘を鳴らしている。

その上で、異例の金融緩和策の長期化がもたらす“副作用”として次の5点を挙げている。

①金融機関が財務内容を改善しようとするためのインセンティブを弱める。
②国家が財政再建や構造改革を推進するためのインセンティブを弱める。
③低金利の継続による銀行・保険・年金運用の困難。
④③の結果、金融機関が収益確保のため過度のリスクをとるようになる。
⑤低金利の固定化により、金融市場に対する金利変動の調整機能が喪失する。

この辺は、わざわざBISに指摘されるまでもなく分かっている話だ。ここから先が問題だ。

①金融緩和政策は国際的な過剰マネーを発生させ、高金利の途上国に資金が流入する。
②途上国通貨は上昇し、途上国バブルが形成される。
③外為市場の混乱は当局の介入を余儀なくさせ、さらに外貨がつみあがる。
④富の世界的な不均衡が拡大し、投機の増大が促進される(とくに穀物市場)。

言っていることは“銀行マン”としてまことにもっともなことだが、ただその主張の根拠となる情勢認識として、「リーマンショックはすでに切り抜けられた」と判断しているようで、現在は第二幕に入りつつあるとの認識がない。

先日のオリンパス事件は、90年バブルの後遺症がいかに根深いものであるかを浮き彫りにした。塩漬け資産を解消するのには10年単位の努力が必要なのである。

率直に言って、BIS提言・バーゼルⅢは結局大衆への犠牲押し付けである。いまの経済・金融危機を立て直すのに何の役にも立たず、むしろ危機を進化させるだけだ。それはスティグリッツの指摘のとおりだ。

金融システムの安定化はたしかに重要だが、そのために途上国がふたたび「失われた十年」と「絶望の十年」を繰り返すのは大間違いだ。