赤旗に鳥畑さんが寄稿したもの。
金融危機に際して各国中銀が金融緩和を行った。
これは、民間金融機関の持つ金融資産を買い取る形で融資する(正確には資産担保証券)という方法を取った。ところがこの中には相当数の不良債権が混在している。
これは国家が時限爆弾を抱えたようなものだ。もちろん各金融機関の経営が軌道に乗れば戻すことを前提にしているのだが。預かっているうちに爆発しないという保証はない。

この「不良資産」が急速に膨張している。この記事では、各中銀の資産残高が一覧表にされている。

QE2の旗振り役バーナンキのお膝元、米FRBは08年9月の9千億ドルから12年3月の2兆9千億ドルに増やしている。実に3倍強である。
中身も問題で、その1/3にあたる9千億ドルが住宅担保証券(MBS)である。これはいまや紙くずに過ぎない。

当初このQE2は緊急避難措置とされたが、いまだに出口は見えていない。それどころかいっそうの金融緩和措置、QE3をもとめる声が後を絶たない。

他の国はどうか、
イングランド銀行はアメリカ並みの322%、欧州中銀は199%、日銀も「いやだいやだ」といいながら、123%に増やしている。

これらの銀行は、まともな金融を支える最後の砦だ。これらが破産すれば世界は破滅するといってよい。
物物交換の世界が再現し、信用で膨らんだ経済は10分の1に収縮する。
それを防ぐにはタックスヘイヴンの銀行を打ち壊し、金銀財宝をばら撒くしかない。

国際決済銀行(BIS)が、世界各国の金融緩和政策の長期化に警告を発し、「金融政策の限界」を唱えた意義はそこにある。

「もう金融政策で時間稼ぎをしているご時勢じゃありません。経済政策です。それは政府が考えることです」ということだ。
所得の再配分機能がうまく働いていないことに最大の問題がある。それはグローバル基準と国際競争力強化の掛け声の下に、福祉国家政策を排除した結果である。