樋口さんの論文を読んで、あらすじは良く分かった。
しかし、そこからメロディーが聞こえてこない。
くねくねと曲がった論理の骨組みは見えたが、干からびていて実につまらない。
たぶん、樋口さんはヘーゲルが好きではないのでしょうね。

それはともかく、宗教への帰依のところを別にすれば、自然的意識が「主観」を手がかりに実体へと切り込んでいくという筋道があって、それがどこかの時点で「それは自分自身なのだ」という気づくところがある。

そのとき自分の目的が現実のなかに自分を直接的に表現することにあると感得するのである。

これでは、宗教家の「悟り」とあまり選ぶところはない。こんなことにマルクスが感激するとも思えないし、ましてそれを一生の指針とするとは思えない。

樋口さんの要約・解説には何か大事なものが抜けているようだ。やはり楽しようと思っちゃいけない。自ら原著に当たるしかなさそうだ。