ドルはアメリカの通貨であるが、アメリカ以外にも大量に流通している。これらをひっくるめてユーロダラーと呼んでいる。(いまはあまりこの言葉は使われないようだ。ユーロダラーでグーグルすると引っかかってくるのは70年代の論文ばかりである)

ユーロの名前はユーロ市場がヨーロッパで始まったためについたものである。東京であってもユーロなのである。

このドルの標準金利がLIBORということになる。したがって、ユーロダラーのことが分からないと、LIBORは理解できない(とくにアメリカとの関係)。

「ユーロダラー市場」は1950年代に誕生した。ソ連・東欧諸国などが、ドル預金の米国による凍結・没収を懸念し、欧州の銀行に預け替えたことがきっかけとされる。

70年代に入ると、ドルが兌換性を失い、変動相場制に移行した。

ヨーロッパは対米黒字を蓄積した。ユーロダラーの市場はそれまで4千億ドル程度のものが、70年代後半には1兆5000億ドル、さらにその十年後には5兆ドルという規模に拡大した。

1986年3月 英・米・日の中央銀行が協力して,外為市場の取引高を初めて調査。年間の取引総額は「実体経済」の15倍を上回る50兆ドルに達することが明らかとなる。また一日あたりの取引高はニューヨークが586億ドル,東京が480億ドルなのに対し、ロンドンは900億ドルと圧倒的な比重を占める。

ロンドンの「ユーロダラー市場」はその後も成長を続け、80年代後半には取引高が3000億ドルを超え、年間75兆ドルを扱うようになった。これは年間世界貿易の25倍に相当する。

世界のドル相場は、ロンドン市場のLIBORにより決定されるようになった。だからユーロダラーというよりはロンドンダラーあるいはシティーダラーと呼ぶほうが実態に即している。

ウィキペディアに書かれた次の一節は重要である。

ドルは、本来アメリカ国内の貨幣であり、米国内の貨幣需要を十分満たすドルが米国内に存在する。ユーロダラーはそれと別に存在し、世界金融市場を移動し続けているため、特定の国に著しい過剰流動性をもたらし、金融市場の混乱を招く元になっている。

つまりユーロダラーは実体経済には不要なあぶく銭であり、ドル市場に対して撹乱効果しか持たない。本質的に投機資本そのものなのである。

(もちろん各国において、ユーロダラーも当面の資金調達先のひとつとなっているのではあるが、ユーロダラーの上に発展した経済は、いったんことあれば砂上の楼閣に終わる。これはラテンアメリカの失われた十年で立証済みである)


ユーロ・ダラーは投機資本としての特徴を兼ね備えている。

①無担保の信用取引であること

旧社会主義諸国の隠し口座という出自からして、秘密性が強い。ゴルゴ13に出てくるスイスの秘密口座が大規模になったものという感じだ。

②無国籍のマネーであり、貨幣としての規制を受けないこと。

「ユーロカレンシー市場はもっとも自由で規制がない市場として、さまざまな金融商品が開発され、先進の金融技術が利用されている」ということで、先物、ジャンク債、空売り、ヘッジなどかなりやばい商品でもなんでもござれということ。

③無限の信用創造が可能なこと、(空手形OK)

資金運用形態が銀行預金から証券へと変化している。証券化(FX化)によって、ユーロカレンシー市場はさらなる“発展”をとげた。銀行は仲介業務にシフトするようになり、信用リスクから解放された。そのリスクは市場リスクに転換され取引参加者全体に分散した。

「みんなで渡れば怖くない」世界の出現である。彼らのなかに「世間の裏街道」を歩いている気分は皆無である。